<金口木舌>「ぼく」と言う娘


社会
<金口木舌>「ぼく」と言う娘
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小学校入学を控える娘は自分のことを「ぼく」と呼ぶ。友だちが使っているからだそうだが、同様に「ぼく」と言う歌手のあのちゃんの影響を受けたのだろう

▼「性別なんてどうでもいいのにな」。SNSで過去にこうつぶやいたあのちゃん。年末の紅白歌合戦では「ちゅ、多様性。」を歌った。あふれる個性は多くのファンを引きつけるが、その言動にはアンチもまとわりつく
▼2025年度から使われる中学校教科書の検定結果が公表され、性の多様性や新しい家族の在り方などの記述が大幅に増えた。あるべき変化だと思うが、これにも否定的な声がちらつく
▼検定を受け、ネットでは「伝統的」だという男女観や家庭観が廃れることを危惧する記事に賛同するコメントも並ぶ。だが伝統だけが守られるべきものではない。多様性こそ尊重されるべきだ
▼「ぼく」と言う娘の言葉は否定したり、修正させたりしない。多様性を認め合う社会の実現には教科書だけでは不十分。私たちの日々の言動が重要だ。子どもたちが自分らしく成長するためにも。