<金口木舌>健康に生きる権利


社会
<金口木舌>健康に生きる権利
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃で病院が狙われ続けている。この紛争に大義や正義があるのだろうか。理不尽にも一般住民の命、健康が脅かされている

▼八重山での沖縄戦取材を思い出す。軍事を優先させるため、日本軍は石垣島住民をマラリアの有病地である山間部への強制疎開を命じた
▼茂みの中に分け入っていく。そこはうっそうとして湿った場所だった。住民は低木や竹で組んだ掘っ立て小屋で暮らしたという。劣悪な環境下、なすすべなくマラリアにかかり、高熱に苦しみ、多くの犠牲を出した
▼世界保健機関(WHO)によると、少なくとも140カ国が憲法で健康を人権として認めているが、その財源について言及している国はわずか4カ国という。近年は大気汚染による被害も深刻化している
▼コロナ禍を経験し、健康への意識を高める人が増えたという。そこから安全な生活や差別のない社会まで意識を広げられないか。「世界保健デー」のきょう、誰もが健康を享受できるという人権の在るべき姿を改めて考える。