<金口木舌>「読みたい」に応える


<金口木舌>「読みたい」に応える
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2010年夏、興南高校の甲子園春夏連覇を取材した翌日、ようやく沖縄行きの航空券を押さえ、夕方の便に乗り込んだ。乗客はほぼ甲子園を観戦した人たちだったようで、機内は前日の興奮と感動で充満していた

▼席に着き、私と隣の見知らぬ男性はそれぞれ違うスポーツ紙に目を通していた。共に記事を読み終えたころ、どちらともなく話しかけた。「(新聞を)交換しませんか」

▼確認したわけではないが、互いに目当ては興南高の記事だ。取材者としてはできるだけ多くの記事を確認したい。男性の方は満足できる記事と出合っただろうか

▼スポーツ取材の現場では、記者は同じ試合を見て、同じ人にインタビューする。それでもすべてが同じ記事になるわけではない。ほとんどの読者は結果を知りながら記事を読む。各記者はどの場面を切り取り、どう表現するかを競い合っている

▼パリ五輪の開幕まで2カ月を切った。県勢選手の活躍が期待される。読者の「読みたい」に応える内容盛りだくさんの紙面を頭に描きながら開幕の日を待っている。