<金口木舌>いつまで待てば


<金口木舌>いつまで待てば
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 平均初任給が1万3千円ほどだった1960年の話。大手製鉄会社が自民党へ350万円を政治献金した。会社の役員は何を期待したのであろう。多額なだけに、疑いもついて回る

▼製鉄会社の株主は本業とは相いれないとして裁判を起こした。その結果、皮肉にも裁判所は企業の政治献金に広くお墨付きを与えた。70年の最高裁判決は会社も政治献金の自由があるとした

▼それでも「企業による金の力が政治をゆがめないか」との懸念は残る。企業献金による弊害への対処について最高裁は「立法政策にまつべきこと」と判示した。その判決から54年

▼94年の政治改革関連法、見直しの99年の法改正をみても小細工程度。それゆえ政治資金規正法の改正論議が幾度も繰り返された。今回もザル法の網の目をやや細かくした程度の改正にとどまる。根本的な「企業・団体献金」には目もくれない

▼企業もお金の支出先を間違えてはいないか。従業員の給与に回せば経済に好影響を与えたかもしれない。最高裁の言った「立法政策」。いつまで待たせるつもりか。