<金口木舌>「甘えるな」


<金口木舌>「甘えるな」
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 「沖縄対策は過保護のきらいがある。甘やかすな」。沖縄返還協定の調印を控えた1971年6月15日、当時の根本龍太郎自治相臨時代理が閣議後会見で発した言葉だ

▼沖縄が求めた「即時無条件全面返還」はかなわず、批判が渦巻いていた。そんな沖縄側を揶揄(やゆ)するような発言だった。県内政党幹部は「内閣の本心をさらけ出した」などと批判した

▼沖縄は過重な基地負担を強いられながらも経済発展を遂げた。だが、復帰時から続く沖縄関係予算には誤解に基づく偏見がまとわりつく。つまり「甘え」だと

▼沖縄へは高率補助が適用され、内閣府が予算を一括計上している。それは沖縄戦による焦土化とその後の米統治、過度な米軍基地の集中―という「特殊事情」が理由だ

▼国民的な安全保障論議を避け、政府は今も基地を沖縄に押し付ける。これは「甘え」ではないか。沖縄も現行の沖縄関連予算の仕組みに慣れきって、自立の気概を失っていないか。すぐに変えるのは無理でも議論は始められる。私たちも現状に甘んじるわけにはいかない。