<金口木舌>デジタルへの理解育む 異色の行政マン


<金口木舌>デジタルへの理解育む 異色の行政マン
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 「一人一台」のパソコンを貸与するという名護市の方針に、職員から異論が相次いだという。「機械に仕事が取られる」という危機感からだった。2000年ごろの話だ

▼名護だけでないだろう。ほとんどの自治体で、デジタル技術への理解は追いついてなかった。この頃、名護市役所へ転職した異色の行政マンが鈴木邦治さん

▼元は宇宙関連事業に携わる技術者。名護市ITマルチメディア館の初代館長を務め、名護にとどまらず、北部広域の光通信網を構築した。情報化、人材育成の功績が認められ今月、総務大臣表彰を受賞した

▼「何年も先を見ていた」とは、当時の同僚の弁。大手通信企業から出向者を集め、中には、名護市へ転職した技術者もいる。鈴木さんは「一人ではなしえなかった」と感謝する

▼職員らがパソコンに「危機感」を抱いた頃から四半世紀。光通信網は市のスマートシティー構想の基盤となる。情報基盤整備でIT企業にとどまらず、新たな分野の企業進出も続く。鈴木さんらの努力が名護の強みとして実を結んでいる。