<金口木舌>差別と向き合う


<金口木舌>差別と向き合う
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 地域に根ざした情報発信を顕彰する「むのたけじ地域・民衆ジャーナリズム賞」の名称から、むの氏の名前を削ったと賞の実行委員会が発表した。むの氏が障がい者を差別するような発言をしていたというのが理由

▼発言があったのは1979年9月。批判は発言当時からあったが、昨年になり受賞団体の指摘で問題化した。今回、実行委員会の共同代表を辞した4人によると、むの氏は批判と向き合うことはなかったという

▼発言の差別性が広く問われるまでに40年余りを要した。批判の声を上げた人々とむの氏の間で対話が生まれれば、別の展開があったのではないか

▼セクハラやパワハラ、差別など、時代によって社会の見方が変わったものもある。しかし、いつの時代でもハラスメントや差別を放置してはならない

▼6月14日付本紙は賞の名称変更とその理由を報じた。むの氏は2016年に101歳で亡くなるまで反戦を訴え続けたジャーナリストだった。差別と向き合うことは難しい。でも避けてはいけない。紙面に載った小さな記事に思う。