十数年前の出来事。友人がマタニティーハラスメントに遭い、退職した。妊娠を上司に報告すると「もうやめたら」と言われたという。友人は働き続けたかったが、育児休業明けの人事を案じて職場を去った
▼防衛省が自衛隊員を対象に実施したハラスメントに関する特別防衛監察で、被害を申し出たことで不利益を被った人が約8割いた。弁護士らでつくる団体のアンケートで明らかになった
▼被害を明かしたばかりに退職の強要や同僚の無視、意に沿わない異動に苦しんだという声があった。秘密が守られなければ相談窓口は用をなさない
▼同じ不安を抱えていよう。南城市長のセクハラ疑惑に関する市議会特別委員会による職員アンケートには被害を訴えることが「怖い」「報復があるのではないか」という悲痛な声がつづられていた
▼ハラスメントの加害者は地位や権力を振り回すだけに、被害を訴えるには勇気がいる。本来は訴えた側の安全や立場が守られるべきだ。南城市が設置を予定している第三者委員会による調査の原則でもある。