<金口木舌>懐は深いほど


<金口木舌>懐は深いほど
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 どんな人とも分け隔てなく接し、相手の気持ちに思いを致す。そんな「懐の深さ」は政治家に必要な資質の一つであろう。この人はどうか

▼3選を果たした東京都の小池百合子知事に感じるのは懐の「浅さ」。築地場外市場をめぐる知事選ネット討論会での発言にそれを見る

▼市場の豊洲移転後の整備が芳しくない。この点を別の候補者が知人に聞いた話としてただすと小池氏は言う。「ちょっとお友達を選んだほうがいいと思いますけれども」。異を唱える人は友達に適さないか

▼2017年の衆院選でも似た発言があった。小池氏らが国政新党「希望の党」を結成する際のこと。野党の民進党から合流希望者がいた。リベラル派議員の合流を問われ「排除します」とにべもない。政党が政策を合流要件とするのは分かるが、都民の生活を預かる知事の発言としては疑問符が付いた

▼後に発言を謝罪したが、友達の選別発言と通じよう。元首相の池田勇人氏が「寛容と忍耐」の精神で話し合いの政治に努めたのは遠い昔。政治家の懐は狭く、窮屈になった。