<金口木舌>新たな厄介者


<金口木舌>新たな厄介者
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 最多の勢いで訪日観光客が増えるに従い、課題も浮かび上がった。オーバーツーリズムだけではない。強いかゆみを引き起こすトコジラミ。荷物に紛れて持ち込まれ、近年急増する厄介者だ

▼外来種との闘いには骨を折る。沖縄では長きにわたってウリ科植物に害を及ぼすウリミバエが猛威を振るった。入ってきたのは大正時代。八重山に始まり、全県に広がった

▼対象の野菜や果物は移動規制がかかり、農業振興を阻害した。国家プロジェクト級の根絶事業は不妊虫を放つことによって繁殖を防ぐ方法で成果を出していった

▼旬を迎えた県産マンゴーの出荷を祝えるのも苦闘の歴史のたまものだ。八重山でウリミバエ根絶が確認され、マンゴーやゴーヤーの出荷が可能となったのは1993年。当時の石垣市長は「厄介者がいなくなった」と喜んだ

▼脅威再びか。県内でセグロウリミバエの寄生が初確認された。被害範囲は未知数だが、農産物移動の再規制が心配だ。ウリミバエ再侵入防止の対策は今も続く。新たな厄介者の登場。油断はできない。