米軍横田基地所属の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイ＝米軍嘉手納基地上空（資料写真）
琉球新報朝刊 昨年11月に鹿児島県・屋久島沖で米空軍横田基地所属の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが墜落した事故について、米空軍は2日、事故調査報告書を公表した。機体左側の円筒部、エンジンの動力をプロップローター（羽）に伝える「ギアボックス」（変速機）内で特定のギアが破断したことで、事故につながったと分析した。一方、破断の根本的な原因を特定することはできなかった。米軍は警告が点灯した後の操縦士の意思決定も墜落につながった原因だと指摘している。
普天間飛行場所属で県内を飛び交う海兵隊のMV22オスプレイや、飛来することのある海軍のCMV22、陸上自衛隊のV22も構造は共通している。現状では不具合を防ぐ手段がないことが浮き彫りになった。
防衛省によると、ギアボックス内で不具合が発生。ボックス内の高速で回転する「ハイスピード・ピニオンギア」が何らかの原因で破断し、その破片がギア間に挟まったことで別のギアが摩耗した。その結果、エンジンからの動力を伝えられなくなり、機体が左側に2回転して海面に墜落した。
事故機は当時、別のCV22と共に演習中で、岩国基地から嘉手納基地に向けて飛行していた。宮崎空港近くを飛行して以降、ギアボックス内で金属片の発生を知らせる警告灯が5回表示されたが、操縦士は飛行を継続。離陸から71分後、金属片を燃焼しきれなかったことを示す別の警告灯が表示されたことを受け、操縦士は任務を中断して屋久島空港への着陸を試みていた。
日米両政府は、破断の原因は不明だが、対策を取ることで安全に飛行できるとしてオスプレイの運用を続ける構えだ。対策として、不具合の兆候をいち早く把握するようギアボックスの点検・整備を強化、不具合発生時に早い段階で近くに着陸することを検討するなどを挙げた。飛行場所も引き続き、緊急時に空港などに着陸できる範囲に限定している。
事故との関連は不明だが、操縦士の遺体からは乗組員が使用禁止の抗ヒスタミン薬の成分が検出された。
防衛省は2日、県や関係自治体に米軍の調査結果を説明した。
（明真南斗）
