有料

岸田首相 退陣へ 自民裏金事件引責 総裁選不出馬を表明 首相会見要旨


岸田首相 退陣へ 自民裏金事件引責 総裁選不出馬を表明 首相会見要旨 記者会見で自民党総裁選への不出馬を表明した岸田首相=14日午前11時45分、首相官邸
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 岸田文雄首相(67)は14日、官邸で記者会見し、9月の自民党総裁選に立候補しないと表明した。派閥の政治資金パーティー裏金事件に関し「残されたのは自民党トップの責任だ」と説明。党の信頼回復のため自ら身を引く必要があると判断した。現職の不出馬表明を受けて後継争いが本格化した。首相は新たな総裁、首相の就任をもって退陣する。2021年10月に発足した岸田内閣は3年で幕を閉じる。
 (2、3、4、22、23面に関連)
 自民は4月の衆院3補欠選挙で不戦敗を含め全敗。内閣支持率が20%台に低迷する岸田首相のままでは次期衆院選や来年夏の参院選を戦えないとして「岸田降ろし」の声が上がっていた。首相は再選に意欲を示していたが裏金事件の対応を巡り党内の求心力低下は著しく、事実上、退陣に追い込まれた格好だ。
 首相は会見で裏金事件について、派閥解消や衆院政治倫理審査会への出席、パーティー券購入の公開上限引き下げに触れ「政治改革を前に進める強い思いで重い決断をした」と強調。「所属議員が起こした重大な事態について、組織の長として責任を取ることにちゅうちょはない」と語った。
 総裁選で自民が変わる姿を国民に示すことが必要だと指摘し「最も分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ。新総裁は今度こそオール自民党で信頼回復に取り組んでもらいたい」と述べた。不出馬表明のタイミングに関しては「当面の外交日程に一区切りがついた。この時点でけじめをつけ、総裁選に向かいたい」と話した。
 総裁選を巡ってはこれまでに石破茂元幹事長(67)が出馬意向を事実上表明。茂木敏充幹事長(68)、高市早苗経済安全保障担当相(63)が意欲をにじませ、河野太郎デジタル相(61)も出馬意向を持っている。小泉進次郎元環境相(43)、小林鷹之前経済安保担当相(49)を推す動きもある。

 【自民党総裁選】
 今回の自民党総裁選では党が変わる姿を国民の前に示すことが必要だ。自民党が変わると示す最も分かりやすい最初の一歩は私が身を引くことだ。私は総裁選に出馬しない。総裁選を通じて選ばれた新たなリーダーを一兵卒として支えることに徹する。
 政治とカネの問題を巡っては派閥解消、パーティー券購入の公開上限引き下げなどについて、批判も受けたが重い決断をしてきた。残されたのは自民党トップの責任だ。所属議員が起こした重大な事態について、組織の長として責任を取ることにちゅうちょはない。私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かいたい。
 【後継総裁】
 後継について不出馬を表明した人間が申し上げることは控えるべきだ。政治とカネの問題や政治の信頼回復へ、改革マインドが後戻りしない方であってほしい。
 大切なのは国民の共感を得られる政治を実現することだ。それができる総裁かどうか、私自身も1票をしっかり見定めて投じたい。新総裁の下で一致団結、政策力、実行力に基づいた真のドリームチームをつくってもらいたい。
 【自民派閥裏金事件】
 政治資金規正法改正で残された検討項目について早期に結論を得なければならない。9月までの総裁任期中、私の責任でできるところまで最大限進める。