移民 (いみん)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県は日本有数の移民県である。1899(明治32)年に当山久三のあっ旋で送り出された移民26人がハワイに移住して以来、海外雄飛の気運が高まり、北米、中南米、カナダ、朝鮮、台湾、中国(旧満州)、南洋諸島、フィリピンなどに大勢の移民を送り出した。戦後は敗戦で引き揚げを余儀なくされた台湾、南洋諸島、中国、朝鮮、フィリピンなどの国々もあったが、経済成長、国際化に伴い移住先に欧州、豪州、東南アジアなど新たな地域が加わった。その最たるものがボリビアへの琉球政府による計画移民。1954(昭和29)年の第1・2次移民を皮切りに19次までに3238人に及んだ。こうして送り込まれ、増えていった県系人はいまや世界に約30万人いると言われる。海外にいる日系人は2百数十万人と言われるから、かなり高い数字を占めている。戦前の移住が家族単位の農業移住であったのに対し、戦後は青年層の技術移住が目立つ。

『最新版 沖縄コンパクト事典』2003年3月・琉球新報社発行、2,415円(税込)