「すてきなことあるように」沖縄最北の商店街で高校生が描いた壁画が話題


この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
辺土名大通りに壁画アートを描き完成させた稲嶺瑠琳さん=2日、国頭村

 国頭村の辺土名大通りで、名護高校1年の稲嶺瑠琳さん(15)=名護市在住=が制作した壁画アートが話題になっている。場所は辺土名スポーツと住居車庫の道路側壁で、幅5・4メートル、高さ3・4メートルの巨大な壁画が目に付く。小学校の頃から漫画などを書くのが好きで、高校入学後は画用紙などに絵を描く。筆を使った本格的な壁画アートは今回が初めて。水性の黒ペンキのみで、下書きなしで描かれた。古くなったコンクリートと新たな壁画アートの色が融合している。

 稲嶺さんは叔父の仲田広樹さん(35)=名護市=から、辺土名大通りの壁画アート募集について情報を得た。6月20日から週末や祝日を利用して制作を進め、8月2日に完成した。名護から2時間かけて、自転車で通って作業を続けたこともあった。作業期間中は地域の人からお菓子や飲み物、アイスやぜんざいの差し入れなどがあり、「テンションが上がった」と笑顔で話す。

 中学生の頃から国頭までサイクリングをしたという。サイクリング中に見た国頭の自然がとても魅力的と感じ、壁画は自然をイメージした。中学3年のとき、太陽の周りをコロナと呼ぶことを学んだ。「新型コロナウイルス」と「太陽コロナ」をかけて「太陽のように明るいことが増えるように、コロナ禍でも楽しみや希望が持てるように」と思いを込めた。

 壁いっぱいに書かれた絵は「人間の手や足・目」「月桃の葉」「蝶々」「魚」「花」「シーサー」「ハイビスカス」「バラ」「ヤモリ」「火」「波」「星」「しずく」「牛」などが描かれた。じっくり見ると密集した中からさまざまな絵が浮かび上がり、興味を引く仕上がりとなっている。壁画の中央に描いた太陽のコロナから伸びる一輪の花は、制作を進める途中に壁画の近くにある花を見て「コロナ禍でも、すてきなことがあるように」と思い付いたという。

 稲嶺さんは「地域の方々にお世話になって絵が完成した。温かく見守ってくれて本当に感謝の気持ちでいっぱい」と、壁画アート完成に安堵(あんど)の表情を見せた。(新城高仁通信員)