【うるま】人、人、人―。客席だけではなく階段まで観客で埋まり、立ち見客もあふれた秋の全島闘牛大会。大迫力の牛たちの闘いをさらに盛り上げるように、勢子(せこ)たちの勢いある掛け声や観客からの声援が飛び交った。活気が戻った会場は肌寒さを吹き飛ばすような熱気に包まれた。
琥珀色の体毛の王者・闘勢琥珀が、「最強の挑戦者」の呼び声高い大獣王と争った重量級。200キロの体重差をものともせず果敢に攻め込む琥珀に対し、大獣王は持たせ込みで耐えしのぐが、最後は角を突き合わせた直後に敗走。7分58秒で決着した。
牛主の平良恵さんは試合後、琥珀にまたがり、ねぎらうように背中をたたいた。観戦に訪れた玉城デニー知事も、関係者に勧められて琥珀の背中に乗り「迫力ある素晴らしい闘いでしたね」と笑顔を見せた。
中量級では、最強の遺伝子を持ち「生まれる前から有望」と言われていた刃誡皇が、ベテランの金太郎を土俵際に押し込んで1分45秒で勝利した。牛主・兼本正健さんは「屋慶名闘牛組合に20年ぶりの優勝旗だ」とうれしそうに語った。
攻守が交互に入れ替わり、息もつかせぬ闘いを見せた軽量級。石山聖空宝志みおりが得意パターンの持たせ込みからの攻撃を狙うが、メイキラ陸王が押し込まれながらも背中を向けることなく、最後はみおりが敗走し、5分58秒で勝負がついた。メイキラ陸王の関係者は「勝つと信じていたから、最高です」と声を弾ませた。