「宮古島まもる君」を守りたい! 島のシンボルが傷だらけ、高校生が修繕「感謝込めた」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
一筆一筆、丁寧に「まもる君」の顔を描く生徒ら=4日、宮古島市平良の県立宮古工業高校

 【宮古島】「これからも宮古島の安全を守って」―。島の子の願いが島のシンボルのに新たな命を吹き込んだ。県立宮古工業高校3年生11人はこのほど、宮古地域で日夜、交通安全のために「立ち番」を続ける警察官型人形「宮古島まもる君」2体を塗装技術で修繕、回復させた。生徒らは「いつも見守ってもらっている感謝を込めた。きれいに仕上がって良かった」と満足そうに話した。

 「まもる君」は1991年に宮古島地区交通安全協会が同地区に設置した。増員されたり台風によって“殉職”したりもあったが、現在は20体(宮古島16体、伊良部島3体、多良間島1体、全員愛称があり、兄弟という設定)が任務に当たる。

 白塗りの顔にくっきり眉と唇のインパクトがあるキャラクターが観光客の間でも話題となり、さまざまなグッズも発売されるなど、宮古島のシンボルとして全国区の知名度を得ている。

 修繕は宮古島地区交通安全協会の依頼を受けて、宮古工業高自動車機械システム科自動車コースの3年生が取り組んだ。同校が取り組む地域へ「恩返し」プロジェクトの一環。3年生11人が持ち前の金属塗装技術を生かした。

 塗装し直したのは宮古工業高近くの交差点の「としお」と市平良の西原入口交差点の「こうじ」の2体。どちらも長年の激務で塗装がはがれ落ち、へこみや傷が目立つなど満身創痍(そうい)の状態で持ち込まれた。

 生徒らは元の塗装をはがす作業から始めた。削りすぎないよう注意しながら、凹凸が細かいところは手作業で進めた。ベルトのバックルには金色を使うなど配色にもこだわり、生徒間で相談しながら少しずつ、形作った。仕上げの作業となった顔は筆で書き上げ、約1カ月かけて完成させた。

 西原入り口の「こうじ」に生まれた時から「見守ってもらっていた」という西原地区出身の松川海斗さん(18)は「これまでの感謝の気持ちを込めながら、丁寧に作業した」と振り返る。「こうじ」は12月8日に西原入り口での勤務に復帰する。「これからも宮古島の安全のために頑張ってほしい」と照れくさそうに話した。

 3年生11人を指導する川本憲哉教諭は「生徒の技術で地域に貢献できたらとの思いで取り組んだ。卒業を控えていい記念にもなったと思う」と語った。
 (佐野真慈)

よみがえった「宮古島まもる君」と修繕に当たった宮古工業高3年生11人=18日、宮古島市平良の県立宮古工業高校

【関連ニュース】

▼宮古島まもる君を調べてみた。→岩手で兄弟を発見した。

▼宮古島まもる君3体、台風で「骨折」療養中

▼石像になった「宮古島まもる君」 交通安全願う