負担軽減で一致も、地元を分かつ県内移設 米軍普天間飛行場の返還合意から27年で知事と宜野湾市長が面談


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米軍普天間飛行場について意見交換する松川正則宜野湾市長(左)と玉城デニー知事=12日、県庁(又吉康秀撮影)

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還に日米が合意して27年となった12日、宜野湾市の松川正則市長は県庁で玉城デニー知事と面談し、普天間飛行場の1日も早い閉鎖・返還と速やかな運用停止に向けた協力を求めた。返還手法を巡っては、辺野古移設を容認する松川市長と、辺野古移設に反対する玉城知事で立場の違いが改めて表れた。一方、国、県、同市で構成する「普天間飛行場負担軽減推進会議」の早期開催を国に求めることは一致した。

 面談で松川市長は航空機の飛行による騒音などに対する苦情が年間300件を超えており「悲鳴に近いものがある」と強い懸念を示した。

 また、有機フッ素化合物(PFAS)に関する県の調査に謝意を示した上で、市内の湧水から継続的に検出されていることを問題視し米軍基地内への立ち入り調査の実現を改めて訴えた。

 玉城知事は、松川市長の姿勢に言及し「私も非常に深く理解する」としつつ、沖縄防衛局による設計変更申請を不承認とした県の判断を改めて説明し、理解を求めた。3月の訪米で米政府関係者らと面会した際に、「普天間飛行場の1日も早い危険性除去の実現が安定した日米関係の前進にもつながる」などと訴えたことを強調した。

 会談後、松川市長は記者団の取材に対し返還手法を巡る見解の違いなどで「すっきりしない」としつつ、スタンスの違いを「互いに理解しあった上で、他に何かできることがないか(を考えたい)」とした。

 松川市長は同日、マシュー・ドルボ在沖米国総領事に対しても普天間飛行場の1日も早い閉鎖・返還の実現を求めた。今月中に上京し、政府に対しても要請を行う。(知念征尚)