ロックバンド「安全地帯」のボーカリストでシンガー・ソングライターの玉置浩二と、琉球交響楽団(琉響)の共演によるコンサートが3日、宜野湾市のコンベンションセンター劇場棟で開催された。代表曲「田園」や「安全地帯」のヒット曲メドレーなどを含む全15曲をオーケストラの演奏とともに披露した。玉置の圧倒的な歌声、大友直人が指揮する重厚なシンフォニックサウンドが観客を魅了した。
「玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2023“Navigatoria”(レジェンダリーシンフォニックコンサート“ナヴィガトリア”)」と題した全国10都市全18公演を巡るツアーの千秋楽の地に選ばれた。主催のビルボードクラシックスと琉響との共同プロジェクト「Symphonic Seeds Project for Okinawa(シンフォニックシーズプロジェクトフォーオキナワ)」の第1弾として初の沖縄開催となった。
コンサートのオープニングは、玉置が世界平和への願いを込めて2016年に作曲した管弦楽作品「歓喜の歌」。演奏が終わり厳かな空気に包まれた中、満を持して玉置がステージに登場した。バラード「あこがれ」の旋律がゆったりと奏でられ、最初の歌声は「ロマン」から始まった。今やオーケストラ公演での人気レパートリーとなった「キラキラニコニコ」、「MR.LONELY」「All I Do」「サーチライト」のメドレーなどが続く。歌い終える度、玉置は胸に手を当て深々とお辞儀した。
第2部の冒頭には、琉響による「沖縄交響歳時記」(萩森英明作曲)より第3楽章「夏」が演奏された。「仲順流り」「唐船ドーイ」など沖縄民謡の旋律がふんだんに盛り込まれた、にぎやかで楽しげな、沖縄の夏を感じる作品に観客から拍手が沸いた。
再びステージに現れた玉置は、「安全地帯」の最新シングル「愛の戦友」を力強く歌い、「ワインレッドの心」「悲しみにさよなら」などの名曲メドレーで観客のボルテージを上げた。「JUNK LAND」では、玉置が厚い信頼を寄せる大友の指揮と息の合った琉響のスピード感と躍動感にあふれる演奏が情感をさらに引き立て、盛り上がりは最高潮になった。
最後は「夏の終りのハーモニー」。玉置の歌声がオーケストラのハーモニーに溶け込んだ。
アンコールは、ベートーベンの「交響曲第6番『田園』」から始まり、玉置の代表曲「田園」へとつないだ。「愛はここにある 沖縄にある」と歌詞を替えて歌うと、会場は大歓声に包まれた。
観客が総立ちの中、「メロディー」で再びのアンコールに応えた。万雷の拍手は鳴りやまず、カーテンコールを繰り返し、会場の隅々まで一人一人のファンを見渡して笑顔で舞台を去った。
ツアーファイナル公演は、4日に那覇文化芸術劇場なはーと大劇場であった。
(田中芳)