78歳・竹本さん、「一人三重奏」 慰問で人気


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口でハーモニカ、手で三線、足で太鼓を演奏する竹本眞良さん=8日、浦添市宮城のデイサービス「なーぐすく」

 竹富町小浜島に住む竹本眞良さん(78)が、口にハーモニカ、手に三線、足に太鼓と同時に三つの楽器を演奏する「一人三重奏」の芸で地元で名物になっている。民宿「おもしろ荘」を経営する傍ら、島唯一のバスガイドとして活動している竹本さん。三線をバイオリンの構えで弾いたり、股の下で弾いたりする技と、毒舌混じりの軽妙な話芸で観光客を笑わせ、島では知らない人がいない「名物オジー」だ。自称「世界唯一の隠し芸」をレパートリーに加え、県内各地の介護施設で慰問公演する竹本さんは、たくさんのお年寄りを笑顔にするつもりだ。

 三線、ハーモニカは若いころから得意だった。「昔、隣に住んでいたオジーに『あんたのオジーは足で太鼓をたたきよったよー』と言われたのを急に思い出した」と、数年前に太鼓の演奏にも挑戦した。生まれる前に亡くなった祖父の芸を想像し、足にばちをくくりつけて練習した。
 当初は三線に集中するあまり、足でたたく太鼓のタイミングが合わず苦戦したが、ひそかに自宅で練習を重ね芸を習得した。2013年に地元老人会の忘年会で芸を見せたところ、好評を得てさらに磨きをかけた。
 浦添市宮城のデイサービス「なーぐすく」のオープン式があった8日、初めて慰問で一人三重奏を披露した。竹本さんがゴムで足にばちを縛り付けると、その姿を見てお年寄りは演奏前から爆笑。三線とハーモニカで安里屋ユンタを奏で、「トン、ト、トン」と二つの太鼓を器用に足でたたくと、笑いはさらに大きくなった。
 「うんじゅなーたー(あなたたち)は何もしないからできんけど、私は何でも挑戦するからできるさー」とお年寄りを鼓舞し、「人間、やれば何でもできる」という自身の信条も伝えた。
 小浜島では近年、平均年齢80歳を超える「KBG84(小浜島ばあちゃん合唱団)」が有名。竹本さんは「多くの人に認められたら、私もテレビに出られるようになるかねー」と、静かにライバル心を燃やしてる。(稲福政俊)