世界遺産の勝連城跡で14~15世紀の石垣根石を初確認 最下段に積まれる石、井戸守るために強固な造りか


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 【うるま】うるま市教育委員会社会教育部文化財課は2022年10月から23年1月の勝連城跡発掘調査で、「東の曲輪(くるわ)」にある石垣の根石を発掘した。根石に大きな石材が使われており、文化財課によると「強固な造りになっている」という。近くには生活に欠かせない井戸があり、それらを守るために強固な石垣を築いたとみられる。世界遺産である勝連城跡の全容解明と将来的な保存に貢献する発見となった。

初確認された東の曲輪の石垣。大きな石材で築かれている根石(石積みの最下段)=うるま市教育委員会提供

 確認されたのは推定で14~15世紀ごろ(600~700年前)の石垣。勝連城の最盛期にあたる時期だ。石垣の存在は約20年前から確認されていたが、根石と言われる一番下に積まれる石が発掘されたのは今回が初めて。横70~80センチ、縦90センチ、奥行き50~60センチの大きな石材が使われていることが分かった。

 東の曲輪がある地形は比較的傾斜が緩やかで、「四の曲輪」につながるように位置している。四の曲輪には五つの井戸があり、井戸は当時グスクに住む人にとっての生命線でもあった。文化財課によると「人の出入りがしやすいことに加え、井戸を防御するために強固に築かれたのではないか」と役割を推測している。

 次の発掘調査は石垣のラインを確認することを目標とし、23年の10月から2カ月間を予定している。全容を解明して将来的な整備を計画している。

 東の曲輪は一般公開されていないが、石垣の資料や発掘調査時の写真などを、うるま市のあまわりパーク歴史文化施設で開催中の「うるまの発掘速報展2023」で紹介している。9月3日まで。
 (金盛文香)