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建築業界で働くカップルが結婚式場に選んだのは…名護市役所庁舎 「こんな建物は全国探しても他にない」

名護市庁舎をバックに記念撮影する藤野敬史さん(後列左から4人目)と菜々恵さん(同5人目)ら親族=2日、名護市役所

 【名護】生まれ育った名護と、お世話になった人たちの思いのこもった名護市庁舎で結婚式を挙げたい―。名護市出身の藤野菜々恵さん(33)と埼玉県出身の敬史さん(43)が2日、名護市庁舎で結婚式を挙げた。一級建築士の敬史さんと景観(ランドスケープ)デザイナーの菜々恵さんが、人生の大切な場所に名護市庁舎を選んだのには理由がある。


 「建築業界で沖縄の建物と言えば真っ先に名護市庁舎が上がる。こんな建物は全国探しても他にない」。結婚式を前日に控え、敬史さんが熱っぽく語る。東京で働く2人にとって、日本建築学会賞を受賞した市庁舎は特別な場所だった。

 菜々恵さんは市宇茂佐出身、中学まで名護で過ごした。那覇の高校を卒業後、県外の芸術大学に進んだ。「小さいときは何げなく感じていた市役所だけど、一度外に出て、庁舎のすごさに気付いた」と振り返る。敬史さんは「役所の人のためだけでなく、訪れる人、市民のためにという視点が素晴らしい」と語る。

 2人がこだわったのは飾らない、手作りの結婚式だ。「沖縄の青い空の下でやりたかった」と菜々恵さん。市庁舎をバックにした広場「アサギテラス」を式場に、飾り付けも自分たちで考えた。前日には汀間の山で植物を採取し飾り付けるなど沖縄らしさを至る所に取り入れた。

 式には、設計に携わった内田文雄さん(66)も訪れ、祝いの言葉を送った。内田さんは「あの時と比べて植物が大きく育っている。とても気持ちのいい時間を過ごした。2人も庁舎も、明るい未来を築いてほしい」と感慨深げだった。

 市によると、庁舎で結婚式を挙げたのは今回が初めて。バージンロードは3階から続くスロープだった。

 「特別視しない場所。市民がたこ揚げするような場所。気軽にすんなりやりたかった」。敬史さんの言葉には、庁舎への尊敬の念がこもっていた。
 (阪口彩子)