「山城ウメト。数え99」。テレビCMで記憶に残るインパクト大のせりふを放つ山城ウメトさん(97)=読谷村=は白寿にして恩納村の沖縄観光テーマパーク「琉球村」で働く現役の“看板娘”だ。厳しい残暑をものともせず、週2で出勤。「元気だったらひゃくはたち(120歳)までやりたい」と笑う。
読谷村座喜味で生まれたウメトさん。結婚してからは同村大湾で雑貨商などを営んでいた。チャレンジ精神旺盛で60歳から三線を習い始め、琉球古典音楽の教師免許を80歳で取得、その年から琉球村で働き始めた。パークでは「旧玉那覇家」などで観光客を出迎え、ゆんたくしてしまくとぅばを教えたり、踊りを披露したりしている。時には戦争体験を語ることもある。
今月で満98歳の誕生日を迎えるウメトさんは、一升瓶を頭に乗せてカチャーシーを踊る。施設には「今日はウメトさんいますか?」などと観光客から問い合わせが来るほど、ウメトさん目当てで訪れる人が後を絶たない。人気はワールドワイドで、米国や台湾、中国など海外メディアからの取材も相次ぐ。
「台湾から来た人には『台湾大好き』。韓国から来た人には『韓国大好き』って言うよ。本当にそう思うし、沖縄を好きになってほしいからね」。県経済をけん引する沖縄観光にも一役買っている。
ウメトさんの元気の秘訣(ひけつ)は笑顔だ。子どもたちをしかったこともなく、家族はとても仲良しだという。職場の同僚の大城ツギエさん(71)=読谷村=も「考え方が前向き。自分の悩みなんて吹き飛ぶ」と刺激を受けている。
唯一無二の存在感に琉球村からは「『辞めさせない』って言われているよ。やめられないとまらないかっぱえびせんになってるさ」と駄じゃれを交えて語るウメトさん。周囲の人々も笑顔にしている。
(仲村良太)