<キラリ大地で―活躍する県系人―>「やる気が一番大事」/新しいビジネスで成功した岸本正之・多摩子さん夫妻


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奨学金制度をつくり県人子弟を援助するなど活動している岸本正之さん、多摩子さん夫妻=ロサンゼルス郊外の自宅

 25年間勤務したJALを依願退職後、グローバル・ネットワーク販売会社を設立して、成功を収めている岸本正之さん。ロサンゼルス郊外パロスバーデス・エステート沿岸の小高い丘の上に1100坪余、3階建て24室の大邸宅が建つ。市場査定額は7億円超という。ギャラリーと映画室があり、裏庭にはテニスコート、プール、地下にはサウナを完備している。
 化粧品や健康増進サプリメントを扱うニュースキン社の契約代理業を始めてから15年。妻の多摩子さんとのコンビは、同社のトップ・ディストリビューターの実績を誇り、世界23国に2万人余の会員を持つという。傍ら、故郷沖縄の高校生たちに奨学金を与え、自宅に宿泊させ、短期留学の機会をつくっている。この中から「自然環境保護に貢献できる人が育ってほしい」と願う篤志家でもある。

 正之さんは50歳後半になって、JALを退社、そのあと新しいビジネスを始め、成功した。秘けつを尋ねると、「サラリーマン社会と違って、私たちの業界では学歴や職歴などをあまり問わない。これまでに分かっていることは育児が終わった元専業主婦などの成功率が高いということ。一対一で対面しながら夢を熱く追い求める人たちを特訓して育てる。やる気が一番大事」と話した。またインターネットを使って、「一斉同報」でビジネス情報を伝達してみたが、期待した結果は出てこなかった。コンピューターで人の心に触れることはできない」と説明した。
 ワシントン、メリーランド郊外、シアトル郊外などに長年住んで、5年前にロサンゼルスへ移住した。南カリフォルニアのイメージについて尋ねると、「ロスには人種、文化、価値観の多様性をより良く受け入れる素晴らしい面がある。そのような社会はやる気のある人にとって成功のチャンスが得られる最高の場だと思う。未来への新しい流れをつくるモデル都市、ハリウッドがあり、気候に恵まれ、フリーウエーが発達しており1時間以内で海や山に行ける便利さがある」と語った。
 正之さんは名護市宇茂佐の出身で、ウチナーンチュ・アイデンティティーについては、「『ユイマール精神』、『思いやり』の県人の伝統が残っている。人々が失いかけている貴重な精神だ。仲間に無償の愛と情けをかける県人魂を感じさせられることがよくある。私自身、ワシントンで県人会を結成して初代会長を務めたこともある」と、感想を話した。
 今後の人生の指針としては、「長い人生には得る時期と与える時期があると思う。とりわけ、自然環境保護と飢餓救済活動をする非営利団体組織に参加して『与える活動』をしたい。今5つの非営利団体の会員で、そのうち3つの組織では理事を務めている。私たち夫婦の終生の仕事としたい」と結んだ。
(当銘貞夫通信員)
(随時掲載)