【キラリ大地で】<アメリカ>ダンスの指導者 新城義道さん(57)


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ダンスの指導者として活躍する新城義道さん

 広々としたダンスルームに足を踏み入れると、タンゴやルンバなどの軽快なリズムに合わせて優雅に踊る楽しそうな人々の笑顔。パーティーでワルツを踊る機会が日常生活の一部に組み込まれているアメリカで、ロサンゼルス日系社会のボールルームダンスの指導者として活躍しているのが新城義道さん(57)=名護市出身=だ。

 映画「シャル・ウィ・ダンス?」などで幅広く認知されるようになった「ボールルームダンス」は、世界選手権など競技スポーツとしてだけでなく、年齢を超えて楽しめるダンスとしても位置付けられている。
 アメリカで勉強したいという夢を抱いて1971年、沖縄大学短期大学卒業と同時に渡米。庭師の手伝いなどをしながら懸命に働き、夜は英語の特訓に励んだ。苦労を苦労ととらえることなく、夢に向かっていつか訪れるビジネスチャンスを信じて地道な努力を続けた。渡米後、わずか3年でレストランを共同経営、独立するという念願の夢をかなえた。
 昼夜を問わない熱心な働きぶりが実を結び、レストランを3店舗に増やした後も、バーガーショップやカーウォッシュなどのビジネスを買収。不動産経営にも乗り出すなど、順調に事業を拡大していった。
 生活が安定して気持ちに少し余裕が出てきたころ、友人に誘われて出向いたダンスの魅力に取りつかれた。「初めて目にする世界。踊るのがただただ楽しくてどんどんのめり込んでいった」
 当時、ダンスをする人は白人がほとんどで、アジア系は皆無。コンペティションでの入賞回数が増えるにつれ、そのもようを伝えるニュースなどでも紹介され、活躍を知った友人や知り合いから「教えてほしい」という依頼が次々と舞い込み始めた。
 軽い気持ちで引き受けていたが、「分かりやすくて覚えやすい」という指導力の良さが口コミで伝わり、自身で踊るよりも教える時間の方が増えていった。「喜ぶ生徒さんの笑顔を見て、逆に人の役に立つ喜びを教えられた」
 それまで経営していたレストランを84年にすべて手放し、ガーデナ市にダンス教室をオープン。現在、ロサンゼルスの7カ所で約500人を指導している。
 30年余りにわたるダンスを通じた活動の功績が認められ19日、ある日系主要団体から特別功労賞とロサンゼルス市長、シュワルツェネッガー・カリフォルニア州知事からの感謝状がそれぞれ授与された。
 「私にダンスの才能があったなんて思いもしなかったこと。うまい、へたはあまり重要ではない。大事なのは楽しいと思えるかどうか。ダンスを通じた人との触れ合いを通して私の人生も大きな花を咲かせた」
 (平安名純代通信員)
 (随時掲載)