【アルゼンチン】沖縄の裏側で琉舞指導 糸満市出身の山本さん


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄の裏側に当たるアルゼンチンで、ウチナー文化を子弟たちに教え育てている先生を紹介したい。在亜沖縄県人連合会の中に、4つある琉舞研究所の一つである「円の会」の先生で、沖縄テレビの取締役だった人の妹でもある。その人は糸満市(旧高嶺村)出身の山本(旧姓比嘉)美佐子さん。

 彼女の両親は戦前から和歌山県に住んでいて、そこで生まれた。そして8歳のときに家族全員で沖縄に移り住むようになると同時に、具志という先生から沖縄舞踊を習い始め、14歳まで続けた。その後は仲里成雄先生から、沖縄を出るまで習った。アルゼンチンへ渡る前の2年間、幼稚園児に沖縄舞踊を教えた。流派は玉城流。
 アルゼンチンには19歳のときに姉夫婦に呼び寄せられ、23歳のときに茨城県の山本和夫さんと結婚、一男一女をもうけている。アルゼンチン日系社会では沖縄舞踊の先生といわれるまでになっている。彼女の弟子たちは子どもたちで、20人余りおり、踊りは主に島人ぬ宝、ナギナタ、クバガサ小などの雑踊り。いわゆる沖縄の伝統的な民謡を中心にした踊りだ。
 しかし最近、古典舞踊を教えたら弟子たちが興味を持つようになり、今は高平良万才や鳩間節などもプログラムの中に入れている。そうした踊りの演目を数多く教えて、ウチナーンュ社会のイベントでは大好評だ。特にアルゼンチン社会ではこの沖縄踊りを日本文化の代表格として高く評価していることは、彼女のような存在があるからだろう。
(新垣善太郎通信員)