【アメリカ】山口さん合気道を実演/日本大使館が招く


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合気道について実演を交えながら講話した山口師範(中央)=ワシントン

 春一色の首都ワシントン。ポトマック川沿いの2000本の桜が一斉に開花した4月の第2週、桜祭りにちなんで日本文化のイベントが多彩に行われた。
 8日に行われた日本大使館主催の合気道演武もその一つ。沖縄合気道の山口巖師範(60)=那覇市=らが日本大使館に招かれ、在米国日本広報文化センターで合気道を紹介した。

 まず、ビデオによる合気道の歴史と創設者による技の一つ一つが放映された。その後、山口師範が「合気道とは何か」について実演を交えながら解説。山口師範は「合気道は柔術の一つで、武でありながら和のけいこをする精神武道。『和』というものは、相手を倒すものでなく、相手のことを理解することが先に求められる。力を抜き、無、虚になること。合気道は、他の武術と違い、自己の体のみで表現できる」と説明した。
 質疑応答では「雑念を取るためにはどうしたらよいか」の質問に山口師範は、「現代社会は、自分たちを取り巻くものがありすぎるため、それらへの執着心が心を窮屈にしている。心を自由にするためには柔軟性をもつこと」と答えた。
 合気道を通して人生を説く山口師範の講話は、分かりやすく、そしてユーモアたっぷりの語り口で多くの人を魅了した。会場には200人近くの人が詰め掛け、立ち見席ができるほど盛会だった。講話終了後のレセプションでもたくさんの人が山口師範を囲んで直接質問を投げ掛けていた。その中の日本人女性は、「先生の講話に感動した。生きることに対していろいろ考えさせられた」と話した。
 今回来米した山口師範率いる沖縄合気道の一行5人は、9日からワシントンの道場で地元のアメリカ人とけいこに取り組んだ。昇段審査を終えてから帰国する山口師範は、「アメリカ人も人間として何が大事かを知るため、そして次元を高めることを求めて道場に来る。時代的ニーズに合わせて何かヒントを与えられることは大きな喜び」と最後に語った。
(鈴木多美子通信員)