【アメリカ】トシコ・タカエズさんが個展 沖縄の素材で表現


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米国で活躍する芸術家のトシコ・タカエズさん

 沖縄ではあまり知られていないがアメリカでは国宝級の芸術家として、長年活躍しているトシコ・タカエズさんの個展が、2カ所で開かれている。6月11日から8月20日まで、ニュージャージーにあるハンダードン美術館で、6月28日から7月28日まで、NY市の現代芸術のメッカとして知られているチェルシー地区のC・コーェル画廊で開催している。オープニングには、巨匠タカエズさんの作品に触れようと多くの一般愛好家や芸術家、評論家、コレクターが詰めかけた。
 タカエズさんの作品の素材は沖縄の伝統的素材でもある土と炎で「クレー・アート」の名称で親しまれている。伝統工芸の手法を彫刻としての造形と油彩による意図と偶然が絵画表現のみにとどまることなくインスタレーション・アートとして幅広い価値をつくり上げた先駆者だ。アバンギャルドではない。静的でまろやかな自然と力強さが遺憾なく表現されていて、僧侶のような温厚さで鑑賞者を包み込む。こうした美学がスミソニアンはじめ多くの芸術団体から最高の名誉賞を受賞したゆえんだろう。
(比嘉良治通信員)