【アメリカ】芸能アピールに一役 阿波連流公演でロバートソン教授


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2006年春、沖縄を訪れたマーサ・ロバートソン教授

 今春の阿波連流公演で踊り手として、また、琉球芸能を紹介するスピーカーとして沖縄伝統芸能のアピールに米大学教授が一役買った。ペンシルベニア州のゲティーズバーグ大学で音楽学と民族音楽学を教えているマーサ・ロバートソン教授がその人だ。

 ロバートソン教授が琉球舞踊を始めたのは、阿波連流啓扇会の知花和子・ポールクマー師範の踊りを見て、その優雅な動きに魅せられたのがきっかけ。4年前から個人的にけいこを付けてもらっている。今では、いくつかの古典舞踊を習得し、各イベントで紅型衣装を身に着け、阿波連流の門下生として舞踊を披露している。
 春にディンキンソン大学の東アジア研究所主催で行われた公演では、ロバートソン教授が公演に先立ち、琉球古典舞踊の歴史的背景を説明した。宮廷舞踊の一つ「踊りクワディーサー」を例に挙げ、沖縄伝統芸能の歴史を欧米の舞踊の動きと比較しながら、3世紀たった現在でも宮廷舞踊の一つとして広く踊られているこの舞が時を経て伝授されており、歴史の重さを感じさせる、と力説した。
 どのように琉球舞踊が普及していったか、また、踊りの型、顔の表情についても欧米のとは違って、目で感情を表現すると話した。最後にロバートソン教授は、琉球芸能は県民の生活に深くかかわり合い、根強く生きていることを述べた。
 専門である民族音楽学の見地から琉球舞踊を研究題材として、この春、初めて沖縄を訪れ、芸能の数々を直接目で見て、多くの舞踊家を取材し沖縄伝統芸能の研究に拍車を掛けたロバートソン教授。「首里城を訪ねた時、沖縄舞踊のルーツに触れ感慨深かった。本場での体験は、多くのことを学ばせてもらった。貴重な旅だった」と話した。(鈴木多美子通信員)