【アメリカ】沖縄問題と向き合う 研究者が県人会訪


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 敬愛大学国際学部教授村川庸子さんら3人の沖縄研究者が、県人パイオニアたちの資料収集のためガーデナ市の県人会を訪れた。
 村川教授は11月に「境界線上の市民権―Citizenship on the Boundary」というタイトルで著書を出版する予定。両親がアリゾナ生まれ、自身がアメリカの大学に留学した経験を基に米国移民の体験を主題にして執筆中。「移民、それは夢の実現、生きる場所を変えてみること。限られた有名人ではなく普通の人の歴史を書いてみたい」と抱負を語った。
 山下靖子さんは津田塾大学国際関係研究所、法政大学沖縄文化研究所研究員として来年博士号取得を目指している。山下さんの指針としているところは、沖縄を通して日本という国家、民族と対峙(たいじ)し、それらを問い直す、沖縄の直面する問題をわれわれ自身の問題として見つめなおし、どう解決していくかを考えること。沖縄の歴史(移民を含め)を見つめることは、国家や、民族という枠組みから常に抑圧され、差別や偏見という経験をしながらも、それらに屈することなく、むしろそれらに抵抗してきた人間の強さを沖縄を通して、人は抑圧に屈することはない存在だということを教えられる。「今、われわれ人類が求められていることをそこから学ぶことができるからである」と結論づけている。
 札幌医科大学医学部で非常勤講師(経済学)をしている竹野学さんは北海道では豚肉は牛肉の代用品(消極的利用)だが沖縄では余す所が無い(積極的利用)の違いなど、「日本内でのInner Colonial―北海道と沖縄の歴史を洗い直してみたい」と意欲満々な態度で資料調査に当たっていた。
(当銘貞夫通信員)