【アメリカ】「アイデンティティー獲得の過程明らかに」 武蔵大の白水教授が調査


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県人会役員らと白水教授(前列右から3人目)=ガーデナ市の県人会館

 文部科学省からの援助を受け、グローバリゼイションとエスニック文化の変化という大きなテーマを掲げ、海外ウチナーンチュの調査のために白水繁彦武蔵大学社会学部教授がこのほどロサンゼルスを訪れた。5年プロジェクトの3年目として取り組んでおり、ハワイ・ウチナーンチュの調査に多くの時間を費やしてきた。北米にも目を向けたいと県人会役員と懇談会を持つと同時に体験談をインタビューした。
 先の調査で白水教授は「特にハワイのウチナーンチュは、沖縄との関係において3回の大きな精神の高揚を経験した」という見方をしている。今年からは、比較の意味を込めて北米のウチナーンチュの運動も見てみたい、とリーダー(指導者)や活動的メンバーと相次いで面談。得た結論は「当然ながら、最初の調査ですから十分なデータを得ることはできませんでしたが」と前置きして、ロサンゼルス近在のウチナーンチュも戦後の救援活動、会館取得をめぐる運動など何段階かの高揚期を経験していることを見いだした。また、リーダー層の活動がそうした高揚と強い関係を持っており、メンバーの関心を引き続けるためにさまざまな手を打っているという感触も得た、と表現した。
 ハワイ宜野湾市人会員でもある白水教授は「海外のウチナーンチュが、自らの文化に誇りを持ち、ウチナーンチュ・アイデンティティーを獲得していく課程を明らかにしていきたい」と抱負を述べた。
(当銘貞夫通信員)