1966年に創業した老舗「ホテル日光」(那覇市松尾、花城清素社長)が閉館したことが16日までに分かった。
県道の拡幅工事に伴い、近隣への建て直しなどを模索してきたが、収支面などを勘案し閉館を決めた。同ホテルは琉球新報の取材に「近年、那覇市内のホテルの乱立などで経営の先行きに不安もあり、閉館を決めた」とした。今後移転などの計画もないという。
閉館に伴い、役員と従業員の75人全員を解雇した。現在、64人がハローワークに失業保険と再就職の援助を申請し、既に2、3人の転職が決定したという。
同ホテルは土地区画整理に当たり、解体撤去について2012年11月に県と契約をした。解体工事は今年5月15日まで実施する。現在は一部従業員が財務関連の作業を行っているが、6月にはこれらの業務も終了する。
当初は3月の閉館を予定していたが、周辺の拡幅工事などが進み「環境として快適ではない状況」(同ホテル)になったとし、前倒しした形で昨年12月19日に閉館した。
同ホテルの前身は「ホテル日光別館」で、1966年に花城清昌社長(当時)が買い取り、「ホテル日光」に改名した。現在の社長は3代目。ホテルの客室数は80室で、最大300人収容できる。
93~94年にかけて宴会場や大浴場などを設置し、修学旅行などの団体客を主な対象として受け入れてきた。93年の年間売上高は7億円だったが、12年9月の決算では3億5600万円となった。
ホテル日光の閉館について、那覇市観光ホテル旅館事業協同組合の宮里一郎理事長は「最近、県内ではファンド(外資系)のホテルが増え、地元の資本が逼迫(ひっぱく)しているのは事実。ホテル日光はそれに加え、土地区画整理にも引っ掛かったので、新しい土地や既存ホテルで事業再開を図ったが、結局いい物件が見つからなかったのだろう」と述べた。(呉俐君)