【アメリカ】期待高まるロス公演/「海から豚がやってきた」


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 ロサンゼルス市内で4月25日に開かれた記者会見には、演出家の池内美舟さんや前田昭夫さん(舞台監督)、石川敦士さん(進行調整)らも出席し、公演へ向けて結束を固め合った。
 マッカーサー元帥役を演じるタケイさんは、世界中で幅広いファンを持つ米SFテレビシリーズ「スタートレック(宇宙大作戦)」のスールー役(日本放映時の役名はミスター・カトー)でその名を広く知られており、ハリウッドのウォーク・オブ・フェームにも手形が飾られているほか、昨年には秋の叙勲・旭日小綬章も授与されている。

 タケイさんのメーキャップを担当するターナーさんは、特殊メーキャップの草分け的存在として知られている。これまでに手掛けた映画やテレビも「フラッシュダンス」「猿の惑星」「バットマン」「アメリカン・ビューティー」「アリー・マイラブ」など多数で、2003年には、ジェニファー・ガーナー主演のテレビシリーズ「エリアス」で、テレビ界のアカデミー賞と称される「エミー賞」を受賞している。ハリウッドでの活躍が長い両氏だが、沖縄を舞台にしたミュージカルで初めての顔合わせとなった。
 まず史実を理解してほしいという主催者の計らいで、記者会見の冒頭で、NHK制作のドキュメンタリー番組を紹介。ハワイの県出身者らが沖縄救済会を創立し、募金で集めた5万ドルで購入した豚550匹を、大しけや機雷に遭遇しながら、7人の勇士が決死の覚悟で太平洋を渡り、焦土と化した沖縄で県民を勇気付けた様子に、タケイさんとターナーさんは、「こんな話があったなんて知らなかった。この感動を公演に生かしたい」と、涙を浮かべながら話した。
 「タケイさんの顔を見ながら、どうやって鼻の高いマッカーサーにしようかなと思案中」と笑顔で話すターナーさんに、タケイさんは、「ハリウッドならマッカーサー役はクリント・イーストウッドあたりで、僕には絶対に回ってこない役」とユーモアを交えて返した。
 ロサンゼルス公演では、マッカーサー役をはじめ、演出と脚本もアメリカ版に改定され、沖縄の出演者やスタッフ50人とロサンゼルス在住の県系の子供20人もエキストラとして出演する。
(平安名純代通信員)