あったかいお風呂をありがとう―。那覇市泉崎で営業を続けていた銭湯「日の出湯」が5月中旬、店の老朽化を理由に約60年間続いた営業を終え、その歴史に幕を閉じた。
店主は「店を続けたかったが、かなわなかった。長年利用してもらって、お客さんには今までありがとうと伝えたい」と語った。那覇市保健所によると、市内でいわゆる銭湯の許可を受けているのは「日の出湯」のみで、同店の閉店で那覇市からは銭湯がなくなった。
2代目店主の高良ツヤ子さん(83)によると、同店は戦後すぐから営業を始めた。「営業を始めたころ1歳だった子どもが、今はもう60歳を超えているからね」と語り、店の歴史の長さをにじませた。
近年は、店舗のスラブが剥がれるなど施設の老朽化が起きていたという。「営業を続けたかったが、お客さんの安全を確保することができなくなった。営業を終わると伝えたときには、お客さんから『続けてほしい』と言ってもらった」
多くの利用客に惜しまれながら、5月14日に営業を終えた。店舗入り口には「お客さまに支えられて今日まで営業できたことに感謝します」と感謝の言葉を記した張り紙が張られている。
那覇市議会一般質問で、花城正樹市議から同店の閉店を聞いた翁長雄志那覇市長は「ユーフルヤー(銭湯)は小さいころから身近にあり、慣れ親しんできたものだ。銭湯など心の中が温かくなるような場所に対し、行政に何ができるか考えていきたい」と語った。
(当銘寿夫)