【アルゼンチン】演劇で使われ話題に 前外間さん作詞・作曲の歌


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自身が作った歌が演劇に採用された前外間ツルさん

 アルゼンチンに住む前外間(旧姓屋宜)ツルさんが作った歌がこのほど、演劇の中で使われ、評判になっている。アルゼンチンの邦字紙「らぷらた報知」が報道し、日系社会では今話題になっている。その公演が4日間行われ、記者も足を運んだ。
 ディレクターはブエノスアイレス大学哲学部教授のマルティン・ドメックさん。アルゼンチンの詩人、ファン・オルティスさんが、シェークスピアの代表作「ハムレット」からインスピレーションして作った詩を演劇化した作品だ。

 劇場はブエノスアイレス市内にある「パペレラー」という地下小劇場。ハムレットの恋人オフェリアの死の場面を、オルティスさんが改作したもので、月からの使者とみられる神秘的な黒衣の女性の歌によって息を吹き返したオフェリアが、再び美しい自然を目にする喜びを神に感謝した後、再び死を迎えるのを黒衣の女性が歌をもって見送るという40分程度の劇だ。観客は皆若い人たちで、観劇中は物音一つ立てず、静かに舞台に見入っていた。
 劇中で歌われた歌は、前外間さんが作詞・作曲した。歌はサマラ・パスカル・ミガレさんという女性が日本語で歌っている。この歌は、5年前に沖県連でピアノコンサートを開催したとき、たまたまディレクターのドメックさんがその歌を聴いて、感じ入ったという。それで3、4年前にこの劇に採用した。
 ちなみにこの歌を作ったのは前外間さんが83歳の時という。現在は夫に先立たれ、娘2人は結婚して日本に在住、一人住まいをしている。彼女は大器晩成型なのだろう。
 (新垣善太郎通信員)