【アメリカ】岸本奨学金で短期研修/名護市宇茂佐の高校生7人


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宇茂佐エイサーを披露した7人の奨学生(前列)と岸本正之さん、多摩子さん夫妻(後列左から4、5人目)ら=ロサンゼルス郊外の岸本邸

 ロサンゼルス郊外の富裕層が住居を構えるパロスバーデスの丘の上に岸本正之さん・多摩子さん夫妻の豪邸がそびえ立つ。22室を有する建物のほとんどの部屋からサンタモニカの海岸沿いが眺望できる。室内にはジョージ、バーバラ・ブッシュ元大統領夫妻と岸本夫妻が一緒に写った写真や、絵画、版画などが展示されており、来訪者の目を奪う。裏庭にはプールとテニスコートがある。8月6日に沖縄県人会員67人と名護市の高校生7人が岸本夫妻の招待を受け交歓パーティーに臨んだ。名護市宇茂佐地区の高校生7人は岸本奨学金制度短期研修第一期生としてロサンゼルスを訪れた。岸本建男名護市長の夫人、能子さんが引率者として同伴した。

 一行は8月1日から8日までの短期間留学生として、岸本宅に宿泊しながら、南カリフォルニアの名所ディズニーランドやビバリーヒルズ、エンゼルス・アナハイム球場などを見学し、研修終了2日前に県人会員との交流を楽しんだ。奨学生7人はこの日のために10日間ほど練習したという宇茂佐エイサーを披露、県人会側からは名護市出身の石原春雄さん、新城義道・鶴子夫妻、モーリス恵子さんらが琉球民謡の数々を披露した。
 山本康仁君が奨学生を代表して「こんな素晴らしい所へお招きいただき毎日夢を見ているようです。感謝にたえません。将来立派な人間になるよう努力してご恩に報いたい」とあいさつした。
 岸本正之さんは名護市宇茂佐の出身で70歳。琉球大学英文科卒業、フルブライト米国国費留学生としてメリーランド大学大学院で修士号を取得、日本航空マーケティング担当で25年間勤務後美容と健康の関連会社を創立、社長として現在に至っている。
 岸本正之奨学資金設立に当たり「私たちの時代は本土へ行く時もパスポートが必要で、現在とは大きな格差があるが、アメリカという国が私の夢を可能にしてくれた。若いうちから広い世界を見て自分の未来には多くの選択肢があることに気づいてほしいという私たち夫婦の願いで実現した。第一期生は自分の生まれ故郷宇茂佐出身に決め、後輩への贈り物としたいと思う」と抱負を語った。
 岸本さんは「奨学金受賞者の中から一人でもいいから、自然保護のために働いてくれる人が出てくれたら私は満足。子供に恵まれなかった私たち夫婦のささやかなプレゼントです。今後の奨学資金の設定については、沖縄で相談してくるつもり」とも語った。
(当銘貞夫通信員)