【アメリカ】米陶芸界に大きな功績 タカエズさんが個展


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今回個展を開催したアメリカを代表する陶芸作家の一人、トシコ・タカエズさん=ロサンゼルス市、全米日系人博物館

 陶芸と料理、野菜を育てることは、すべて土が生み出す芸術。私の作品は、閉じられた空間からの語りかけを表現したもの-。日本の伝統と西洋の美学を融合させた作風で、1960年代初期から米中西部を代表する陶芸家の第一人者とされ、ノース・カロライナ大学から人間国宝賞を受賞した陶芸作家、トシコ・タカエズさん(83)の個展がロサンゼルス市の全米日系人博物館で開催されている。

 展示されているのは、つぼの開口部が閉じたユニークな造形法「閉ざされたフォルム」をコンセプトに、溶岩に埋もれ、焼け焦げた木立の荒涼たる風景を象徴したものや、壮大な宇宙の広がりを表現した作品など25点。
 タカエズさんは両親が旧具志川市出身の2世で、11人のきょうだいとともに、ハワイで日本の生活様式に囲まれた青春時代を過ごした。真珠湾攻撃が起きた1941年にホノルル市内の量産陶器工場に就職、その後陶器の美を追求するためミシガン州へ移住した。マヤ・グローテル氏の下で指導を受けながら、独自の作風を生み出すなど才能を開花させ、陶芸作家としてのスタートを切った。
 初めて日本を訪れたのは1955年。8カ月間の滞在中に、濱田庄司や北大路魯山人、金重陶陽らに教えを受け、炎と土の芸術性にみせられた。「両親から聞かされて育った沖縄の太陽や土の偉大さ、禅の世界で学んだ『静かな均衡』に深く影響を受けた。私の作品は、膨張しようとする内部と閉じようとする外面の緊張関係を表現したもの」と話している。
(平安名純代通信員)