【アメリカ】「関西の再活性化を模索」/比嘉春奈さん


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アメリカ研修で世界の広さを実感したと話す比嘉春奈さん

 「街の活性化に必要なのは自分で考える力を持つ人間を育てること。自主性って何だろう。アメリカに行って、自分の目で発見したかった」と話すのは宜野湾市出身で、現在、大阪市立大学経済学部に通う比嘉春奈さん(20)。
 ロサンゼルス在住の関西出身者で構成された非営利団体「関西クラブ」が、国際的な視野を広げる機会を若者に与え、関西の未来に役立ててほしいと2002年度に開始したロサンゼルス短期研修制度の3期生として7月30日にロサンゼルス入り。10日間の日程でロサンゼルス市議会や港湾局、日本人企業家との懇
談会などの研修に励んだ。

 「人種や街並み、生活様式もほんとにさまざま、ロサンゼルスには驚くほどのいろんな社会がある。観光など一過性の旅行では学べない体験を通して、米社会で生きる人々の姿に触れられた」
 球陽高校から大学進学のために来た大阪の第一印象は「笑い声がよく聞こえ、パワフルでエネルギーにあふれた街」。しかし、大学生活に慣れていくにつれ、さまざまな地域出身の人を受け入れてきた関西の多様性と開放性は減少し、閉鎖的になってきているのでは―という疑問を持ち始めた。
 「関西のGDPは世界の約2・4%でカナダと同規模。しかし、失業率は高く、ホームレスもたくさん、中小企業の中国移転もどんどん加速化している。このままでは関西は空洞化するのでは」
 比嘉さんは、アメリカで学ぶ必要性を感じ、関西の活性化をテーマにした小論文と面接でロサンゼルス短期留学制度に合格。2度目となったロサンゼルスでは、政府機関や企業のトップらを前に積極的に質問。最終日の研修発表会では、集まった約30人の日系社会のトップらを前に成果を発表した。
 若尾龍彦・関西クラブ会長は、「各分野の第一線で活躍する人々と意見交換する場を設定。訪問する度に熱心に質疑応答し、1週間で大きく成長した」と成果を話した。
 「大阪の大正区には沖縄出身者も多い。今回の研修で世界の広さを実感した。沖縄のために自分に何ができるかはまだわからないが、地道に探求していきたい」と比嘉さんは話した。
 (平安名純代通信員)