【アメリカ】泡盛の魅力アピール/「琉球王朝」北米発売1年


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米国進出から1年がたち、さらに泡盛をアピールする多良川酒造の砂川拓也社長=ロサンゼルス近郊ニューポートビーチ市のレストラン

 昨年8月に北米で「琉球王朝」を発売した酒造会社・多良川の砂川拓也代表取締役社長がロサンゼルスを訪問し、10月27日、ロサンゼルス近郊ニューポートビーチ市の高級レストラン「喜多やま」で開かれた沖縄ナイトで、集まった地元客らを対象に泡盛の魅力をアピールした。
 高級住宅地の一角にある同レストランは、映画のセットのような豪華な造りと味で人気が高く、この日は、沖縄情緒を醸し出すために琉球舞踊や三線のパフォーマンスを取り入れるなど、内装や演出を特別に工夫。店内いっぱいに漂う沖縄ムードを満喫しながら、泡盛を手にした地元客らは「まろやかで飲みやすい」と声をそろえ、中には「沖縄ってどういう所なの?」とウエートレスに質問するなど、泡盛が思わぬ観光促進の役目を果たす場面もあった。
 沖縄ナイトを企画したのは横島稔同レストラン社長。同氏は、泡盛や沖縄料理を学ぶために、過去に沖縄を二度訪問し、特徴がある泡盛や料理を同店のメニューに加えたいと今回の企画を実現させた。

 砂川社長は「出荷量も9600ケースと目標を大きく上回り、手応えの確実さを実感」と説明。銘柄がほとんど認知されていなかった発売当初から、日本食レストランやスーパーなど日系市場を軸に、米市場での販売拡大に務めてきた1年間を振り返り、「さらに認知度を高めるためにももっと積極的な活動を展開していきたい」と語った。
 米国商務省によると、2004年度の日本酒の輸入量は1883万ドル(前年比約29%増)。すしや日本酒ブームが定着し、日本酒市場は拡大したが、焼酎は日本酒との違いが米消費者には理解しにくいなど、認知度は低い。現在、米主要都市の日系マーケットで販売されているのは、泡盛業者4社の銘柄で、テキーラなどアルコール度の強い酒が広く好まれるカリフォルニアでの市場拡大は、いかにして知名度を浸透させるかにかかっているともいえる。
 ロサンゼルス在住の当銘由洋・県観光商工部委託駐在員は、「販路開拓で、日本酒や他の焼酎との差別化を図ることがこれからの課題」と話し、さらなる普及には、現地視察や市場調査・分析、宣伝広告費などの捻出(ねんしゅつ)が必要と強調。「トレンドや法例、ビジネス上の慣例などの情報を提供するなど、行政が県産品の啓発活動をサポートするとともに、県内業者の販路開拓に必要な展示会なども積極的に支援していきたい」と抱負を示した。
 (平安名純代通信員)