社会課題の解決に関心の高い若きリーダーたちの世界的組織「グローバル・シェイパーズ・コミュニティ」の沖縄ハブで、まとめ役となっている比嘉麻里萌さん(29)。海外留学や研修を経験した比嘉さんは「世界一貧しい大統領」で知られるウルグアイのホセ・ムヒカ元大統領と対談した経験がある。地球の裏側まで会いに行くほど熱望したムヒカ氏との対談は、貧困や教育など社会課題の解決に向けて世界と沖縄をつなぐ活動へと比嘉さんを駆り立てる原動力となっている。
(暮らし報道グループ・慶田城七瀬)
忘れられない経験
比嘉さんは、首里高校卒業後にカナダやフィリピンへ語学留学を経験した後で沖縄に戻って就職し、沖縄市子ども議会の運営や次世代教育や国際交流支援事業に取り組んだ。
現在は育児に取り組む一方で、GSCOの活動や、気候変動対策に向けて行動する市民らの世界的なネットワーク「クライメート・リアリティ・プロジェクト・ジャパン」にも参加している。
気候変動について学ぶ中で関心を持ったのはジェンダーの問題だ。「災害が起きると女性の立場がぜい弱になりがち。社会がそこに視点を向けて構造を変えていくために、どのように行動するのかについて考えている」
将来の夢は「世界平和」。国際交流や気候変動、ジェンダーなど、グローバルな問題へと常に意識が向かう。比嘉さんの人生を変えた忘れられない経験がある。
思い立ったら行動へ
観光系の企業に勤務していた頃、希望していない仕事にモヤモヤを抱えていたことがあった。たまたま本屋で目に留まったウルグアイの元大統領、ホセ・ムヒカ氏の本にある言葉に感銘を受けた。
「あなたのその目の前にある時間はあなたの人生の1分1分なんだ、という言葉を見つけてその場で号泣した。この人に会いに行こうと思った」
思い立つと行動に移すのが早い。会社を辞め、ムヒカ氏とスペイン語で対談したい語学留学を決意。コスタリカやボリビアの沖縄移住地を尋ねながら、ウルグアイへ滞在した。ムヒカ氏を探して1カ月ほど国会議事堂へ通い詰めた。職員や警備員にも顔を覚えられ「ムヒカ氏は忙しくしている」と断られる日々だったが、ある日チャンスは訪れた。