prime

教えて就活の「カジュアル」 服装案内に学生「正解分からず困ります」(中国新聞提供~パートナー社から~)


教えて就活の「カジュアル」 服装案内に学生「正解分からず困ります」(中国新聞提供~パートナー社から~) 就職情報会社マイナビ主催の合同企業説明会に設けられたカジュアル服の紹介パネル=広島市南区
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

人手不足を受け、この春も学生優位の「売り手市場」で進む就職活動。その現場で、就活生を悩ませるのが「服装はカジュアルで」という企業の案内だ。学生からは「正解が分からない」との声も上がる。悩んだ末にどう対応している? 企業側の狙いも聞いてみた。 

「カジュアルで」だと「めっちゃ困ります」

 福山平成大(広島県福山市)の3年男性(21)は「企業説明会の案内が『カジュアルで』だとめっちゃ困ります。普段の服も無頓着なので…」と話す。

 広島修道大(広島市安佐南区)の3年女性(20)は服を買いそろえたが不安だったため、大学のキャリアセンターで見てもらったという。比治山短大(東区)の1年女性(19)は「親に相談して白のセーターとグレーのパンツに決めた」という。

 苦い経験を告白する学生も。岡山大(岡山市)の4年女性(22)は「呼びかけ通りにカジュアルで行ったら、周囲はほぼリクスー(リクルートスーツ)とパンプスで焦った」と振り返る。「カジュアルを推すなら、会社はもっと強調してほしい」

企業にはハードル下げる狙いも

 企業側の狙いはどこにあるのだろう。「リクスー禁止」で面接している企業がある。精米機製造のサタケ(東広島市)。毎年服装のお題を出していて、昨年の選考は「あなたにとって最も〇〇な服」にしたという。人事担当者は「リラックスして臨んでもらいたいから。個性を見たいという側面もある」とする。

 選考の手前の企業説明会などを、私服OKにする企業は少なくない。福祉・保育施設運営の三篠会(安佐北区)は「気軽に参加してほしい」と説明。競技用ボールなど製造のミカサ(同)は「スーツを着る手間を省くことで、講義やアルバイトの合間に一人でも多くオンライン参加してもらえたら」とする。部活着を認めることもあるという。

 他の企業への取材でも「リラックスしてほしいから」「ファッションセンスを見るわけではない」との声が目立った。

 リクルートワークス研究所(東京)によると、今春卒業予定の大学生と大学院生の求人倍率は1・71倍と2年連続で上昇している。「カジュアルで」は、売り手市場の中で服装のハードルを下げてより多くの学生にアクセスするための企業の戦略でもあるようだ。

 小井手ファッションビューティ専門学校(南区)講師でスタイリストの難波典子さんは「リクルートスーツ姿は個性が隠れ、堅苦しくなりがち。私服で企業の人と会えるのは、自分らしい表情を見せるチャンスだと捉えて」と助言する。

 だらしなく見えぬようジャストサイズを選ぶことと清潔感を前提に「オフホワイトやベージュ系のニットやブラウスは明るく見えるのでお薦め。愛用のアクセサリーを身に着けると自信にもつながる」と後押しする。

 就活生の皆さん、こういった視点でぜひ前向きに「カジュアルで」に対応してみては。

●この記事を書いたのは
中国新聞・久保友美恵 (社会担当)

「歩きやすい靴で」の案内に悩む学生もいる。スニーカーかパンプスか。現場で少数派になるのが怖いらしい。その不安よりも、伸び伸び歩いて企業を見回る方が大事だよと、私は伝えたい。

 

<あなたの声寄せてください>

琉球新報「りゅうちゃんねる あなたの疑問に応えます」は、読者からの寄せていただいた疑問を受けて取材します。暮らしの中で感じている身近な疑問をLINE公式アカウントなどを通してお寄せください。友達登録はこちから↓