【動画】細~い葉っぱの上に住んでます キンランカノコ <沖縄・海の生き物たちVol.20>


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掃除はお任せ 

サンゴ礁に囲まれた礁池、イノー。その浅い砂地には、芝生のように一面に海草(うみくさ)が生えて、「海草藻場(うみくさもば)」となります。ここは、サンゴに覆われた海とは、また違った生き物たちが暮らすところ。特に、小さな生き物たちの隠れ場所になっています。

幅が1センチにも満たない、細い海草の葉を、よーく見てください。葉の上を歩き回る「小さなつぶ」が見えるでしょうか。実は、微小なサイズの巻貝たちが、緑の葉の上で暮らしているのです。彼らは貝の子どもではなく、大人になっても数ミリという、微小貝の仲間なのです。

この中でも、つるっと丸い貝殻に、きれいな模様が入っているのが、カノコガイの仲間。黄色っぽい貝殻に赤茶色の稲妻のような模様があれば、キンランカノコです。貝殻のサイズは2〜3ミリから、大きくても5ミリ程度。彼らは、葉っぱの上を歩きながら、葉の上に生える細かく柔らかな藻を食べます。海草の葉そのものをかじると、自分たちの家がなくなってしまうけれど、葉に生える藻をかじることで、海草の葉の掃除をして、光合成を助けているとも言えそうです。ただ、時々葉の表面に削られたような跡が見つかるので、たまには一緒に食べてしまうこともあるのかも?

微小な生き物たちが息づく海草藻場。ここもまた、サンゴ礁と同じくらい大事にしていきたい海なのです。

Vol. 20 キンランカノコ

Smaragdia paulucciana

● 目:アマオブネガイ上目 Neritopsina

● 科:アマオブネガイ科 Neritidae

● 属:クサイロカノコ属 Smaragdia

 

動画撮影:
キンランカノコ  2012年8月3日(浦添市・カーミージー)
         2015年7月17日(浦添市・カーミージー)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。

 

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