道行く人々を励ますあの応援メッセージ、誰が書いているの?【島ネタCHOSA班】


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豊見城市内ゆたか小学校向かいにある「がじゅまる不動産」さんは、毎朝「流されて生きるか、泳いで生きるか」など、黒板にきれいな文字で書かれた応援メッセージを玄関先に置いています。一体どなたが、どんないきさつで応援メッセージを書くことになったのでしょうか。

(那覇市 とわママさん)

依頼者のとわママさんのお便りには続きがあり、「メッセージには、『できるできないではなく、やるかやらないか』など感心させられるものから、『ファイト一発』とクスッと笑えるものまであります。出勤時にお店の前を通るのですが、元気をもらえるので毎朝楽しみにしています」と書かれていました。

まるでカフェ!?

というわけで、地図を頼りに、県道7号の奥武山米須線沿いに事務所を構える「がじゅまる不動産」へと向かった調査員。

地図が指し示す場所には、温かみのある大きな木製の看板が掲げられた店舗が。不動産屋さんというより、まるでカフェのような雰囲気ではありませんか。しかし、看板には大きなガジュマルの絵とともに「がじゅまる不動産」と書かれていますから、こちらで間違いないようです。

見ると、玄関先に応援メッセージが書かれた看板が置かれています。この日の言葉は、「面倒なことを後回しにすると余計に面倒になる」。記事原稿を後回しにしがちな調査員にとっては少々耳が痛いながらも、頑張らなきゃと励まされる言葉ですね。

「こんにちはー、レキオですが~」と扉を開けると…。中はさらにカフェ風な雰囲気。ターコイズブルーの壁面に、木製の机や椅子が並び、お子さまが遊べるスペースまで設置されていました。

毎朝、黒板に応援メッセージを手書き。字の丁寧さからも書き手の人柄がうかがえます

地域を元気にしたい

出迎えてくれたのは、代表の金城学志(さとし)さん(41)。応援メッセージについて聞いてみると―。

金城学志さん。趣味はウクレレ

「私は高校卒業後、上京してミュージシャンを目指しました。ライブハウスで活動していたのですが、お客さんをなかなか集められず…。その時、居酒屋のお店の前にあった応援メッセージが書かれた看板に勇気づけられたんです」

その後、沖縄に戻って不動産会社に勤務。2014年に独立を果たし、16年1月にがじゅまる不動産を設立した金城さん。今度は自分が人々を勇気づけたいと、事務所の玄関前に毎朝応援メッセージを記した看板を置くようにしたそうです。

「書く言葉は、私がネットや本で見て感銘を受けた言葉だったり、自分が考えた言葉だったり…。月曜には『急がずに、だが休まずに』など、優しい言葉を書くようにしています(笑)」

なるほど~。ちなみにこのインテリアも金城さんが?

「はい。もともとインテリアが好きなので、カフェをイメージしながら、気軽に入れる雰囲気のお店にしようと。店内のテーブル、子ども用のおもちゃも廃材を使って手作りしていますよ」

古いもの、ビンテージを大切にしたいという金城さん。中古住宅をリフォームして住むリノベーション物件の仕事も手掛けているそうです。

手作りのテーブル、壁にはウクレレ…。まるでカフェのようながじゅまる不動産店内。BGMもハワイアンがゆったりと流れていました

さらに、地域を盛り上げていきたいという思いから独力で取材から記事・デザインまでこなすフリーペーパー「がじゅまる新聞」を毎月発行したり、店先に地域の人が自由に本を借りられる文庫を設置したり、ウクレレ教室を開いたり、物件のポイントを記事として紹介するブログを執筆したり…と、八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍を見せる金城さん。

「応援メッセージは、地域の方から『見て元気もらってるよー』と反応をいただくこともあり、うれしいですね。店舗には、地域の子どもたちが学校帰りにフラリと遊びに来ることもありますよ」

地域や人々を励まし、盛り上げる金城さんの姿に、調査員も元気をもらいました! 原稿も先延ばしにせず、がんばるぞ~(笑)!!

 がじゅまる不動産

【住所】豊見城市字豊見城574-20 (マップはこちら
【電話】098(851)8369
【HP】www.gajumaruworks.com

(2020年9月17日 週刊レキオ掲載)