【動画】海の妖しいクリスマスツリー 〜夜の危険生物たち〜 <沖縄・海の生き物たちVol.34>


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冬の海を彩る妖しい姿の正体は…

沖縄にも冬がやってきました。冬の大潮の日は、真夜中に大きく潮が引きます。夜行性の生きものを探しに行くなら、いま!

というわけで、深夜、干潟を歩きに行きました。ライトで潮だまりを照らしながら、ゆっくり歩いていると…いました!スベスベマンジュウガニ。名前はユニークですが、体に猛毒を持つカニです。この毒は煮ても焼いても消えないので、決して食べようと思わないで!この時はなぜか、小さな石ころをかじっていました。カニはたいてい雑食ですが、表面の海藻でも味見していたのでしょうか。

干潟でよく見る巻貝に、イモガイの仲間がいます。夜、砂の上を滑るように歩いていたのは、ムラサキアンボイナ。寝ている小魚を毒針で仕留めて食べます。イモガイの中でも毒が強い種類です。

潮だまりの中には、オオマルモンダコも!ヒョウモンダコの仲間で、フグと同じ毒を持っています。青いリング模様が美しいけれど、噛まれたら大変です。

そして、水中で妖しいクリスマスツリーのように腕を伸ばしていたのが、ハナブサイソギンチャク。クラゲと同じ刺胞という毒針の細胞を持っていて、刺されると非常に痛いです。そんなイソギンチャクの上をよく見ると、小さなガラス細工のようなエビがペアで住んでいました。イソギンチャクカクレエビです。とてもかわいいので、きれいに写真を撮りたいけれど、近づきすぎてイソギンチャクに刺されないようにね。

夜の海は危険生物がいっぱい。でもこれは、海が豊かな証拠です。こんな海、ちゃんと残していきたいなぁ。

Vol. 34 ハナブサイソギンチャク

Actinodendron arboreum

● 目:イソギンチャク目 Actiniaria

● 科:ハナブサイソギンチャク科 Actinodendronidae

● 属:ハナブサイソギンチャク属 Actinodendron

 

動画撮影:
スベスベマンジュウガニ  2020年11月29日(浦添市 西海岸パルコ前)
ムラサキアンボイナ  2020年11月28日(浦添市 西海岸パルコ前)
オオマルモンダコ  2020年11月29日(浦添市 西海岸パルコ前)
ハナブサイソギンチャク  2020年11月30日(浦添市 西海岸パルコ前)

動画撮影・編集&執筆

鹿谷法一(しかたに・のりかず しかたに自然案内)

琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島に生まれ、海に憧れて1981年に沖縄へ。専門はカニなどの甲殻類。生き物の形とはたらきの関係に興味がある。最近は、沖縄の貝殻を削って磨くシェルクラフトを行っている。

鹿谷麻夕(しかたに・まゆ しかたに自然案内)

東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京に生まれ、20代半ばでサンゴ礁に興味を持ち、1993年に沖縄へ。2003年より、しかたに自然案内として県内で海の環境教育を始める。しかたに自然案内代表。手作りぬいぐるみで海を伝える、あーまんシアターも主宰。

 

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