昭和の漫画が読める図書館!?【島ネタCHOSA班】


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漫画好きの読者です。最近父から那覇市銘苅に「naha昭和漫画図書館」という場所があると聞きました。昭和時代の漫画が楽しめそうな名前にワクワクしています。どんな場所か調べてください。

(沖縄市 夕日のマンガン)

昭和時代の漫画は、今も読み継がれる名作がたくさんありますよね。そんな昭和の漫画がそろう図書館があるとは初耳です。ネットで検索すると、なは市民活動支援センター2階のレンタル事務所の一角にあることが判明。さっそく現場に向かいました。

世代交流の場に

出迎えてくれたのは、館長の知念忠彦さん。「学生時代、漫研(漫画研究部)に所属していました」といい、漫画に関する知識も豊富です! 8畳ほどのスペースにある本棚には、手塚治虫や鳥山明、藤子不二雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎などの作品の他、漫画に関する資料的な本も並びます。手のひらサイズの「豆本」やおなじみのキャラクターのフィギュアも展示されていて、レトロな世界が広がります。

館長の知念忠彦さん

「naha昭和漫画図書館」は昭和漫画をコンセプトに2022年6月にオープン。知念さんが所属するまちづくりの市民団体「なは市民協議会」が活動の一つとして運営しています。なは市民協議会のメンバーや館内に設置している募金箱に集まった寄付金に支えられているそうです。「個人や小規模な組織が運営する図書館を『マイクロライブラリー(小さな図書館)』と呼んでいます」と知念さん。近年、このような図書館が全国的に広まっているそうです。

設立のきっかけを聞くと「子どもたちが漫画離れしているので、後世に伝えていきたいという思いで始めました。昔の漫画であればお年寄りの居場所にもなるし、世代をつなぐ場所にもなってくれればというのも一つのきっかけでした」

なは市民協議会では、漫画図書館の他にも、車で巡回する「移動図書館」、公園などの野外で読書が楽しめる「パークライブラリー」という活動も展開。本を通じた地域の居場所や交流の場づくりにも取り組んでいます。

所蔵する本は、知念さんが所有していたものや寄付でもらったもの、ネット通販で買ったものなど。全国の古本屋を回って収集したりもするそうです。「最近も少女漫画が少ないと指摘され、漫画古書店で段ボール3箱分仕入れてきました」。さらにバラエティーに富んだ品ぞろえが期待できそうですね。

レアな蔵書も読める

貴重な本もあるのではないでしょうか。

『週刊少年サンデー』や『週刊少年マガジン』『少年ジャンプ』の創刊号があります(サンデー以外は復刻版)」。ビックコミックの創刊号(復刻版)、手塚治虫が作った雑誌「COM」の創刊号も置いてあります。

手塚治虫の初期作品もあり、「有名な作品『新宝島』は、3つぐらいのバージョンがあり、全部オチが違うんです」とのこと。日本漫画に多大な影響を与えた作品ですが、納得がいかず描き直していたとは!

他にも、秋本治のデビュー当時のペンネーム「山止(やまどめ)たつひこ」名義のままの『こちら葛飾区亀有公園前派出所』や昔の漫画雑誌の付録漫画、元の持ち主の落書きが入っているものも。

図書館内には昭和時代の漫画が並びます

「漫画を知っている人が来るとレアさが分かるはず」とほほ笑む知念さん。貴重な本もあるため、貸し出しは行っていませんが、図書館前の共有スペースでゆっくり読むことが可能です。

「開館が不定期というのが弱点です」という知念さん。館長の他に「ちょいボラ館長」という3人のボランティアがいるそうで、それぞれの都合に合わせてスケジュールを組んでいます。現在は数時間単位で開けていますが、「今後は、ボランティアを増やしていきたい」と抱負を語ってくれました。

昭和の漫画や文化、歴史を知る上でも貴重な場所を見つけた調査員。さまざまな世代が集まる新たな居場所として広まってほしいと願い現場を後にしたのでした。


naha昭和漫画図書館

那覇市銘苅2-3-1 なは市民活動支援センター2階

入場無料(募金箱への300円寄付も募集)

開館日時はFacebookを参照
 

(2023年1月5日 週刊レキオ掲載)