沖縄らしい栽培方法 沖縄の植物漫歩(4)


沖縄らしい栽培方法 沖縄の植物漫歩(4)
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子
あん里リガーデン開発のペチュニア

 書店には草花の育て方を紹介する本が多数並んでいます。しかし、その栽培方法は関東一帯を基準に作成された本が多く、沖縄では育て方に随分違いが出てきます。例えばガーデニングの定番ペチュニア。一般的な開花時期を調べると4~10月、春から秋となっています。しかし、沖縄では9~6月。秋から初夏で、開花時期がほぼ真逆です。

 花びらをハーブティーに使えるマロウ。本では多年草で、開花時期は5月~8月。ですが、沖縄では夏の暑さを越すことが難しいので1年草として扱われることが多く、開花時期は12~6月ごろ。今度は多年草が1年草になってしまいました。このように沖縄ならではの育て方の知識が必要です。単純に「何カ月ズレている」だけではないのが悩ましいところ。

 しかし、悪いことだけではありません。ペチュニアは本土では開花期間が7カ月ですが、沖縄では10カ月。マロウは3カ月に対し7カ月と、長い間花を楽しめます。本土では冬越しできない1年草が、温暖な沖縄では多年草化することもあります。

 こんな状況なので、農家として新しい植物の栽培を始めるときはひと苦労します。「育ててみないと分からない」ことも多く、栽培方法が確立できず断念するときもあります。が、うまく栽培できたときの達成感は筆舌に尽くしがたいほど、うれしいものです。

 最も大切にしているのは、お客さまがしっかり育てられるよう伝えること。植木市などでは直接生産者に聞いてください。各農家とも、試行錯誤の末たどり着いた沖縄らしい栽培方法を教えてくれるはずです。

 (NPO法人沖縄有用植物研究会 安里慎也)  

(2014年11月13日琉球新報掲載)