【全文】「ローカルからグローバルへ:地方におけるスタートアップの育て方」 澤山陽平(500 Startups Japan, Managing Partner)

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 沖縄から次世代リーダーを発掘・育成する人材育成プログラム「Ryukyufrogs(リュウキュウ・フロッグス)」。“想い”をカタチにしようと、新サービスの構築に挑み続けた8期生9人を応援しようと、国内外で活躍する起業家やベンチャーキャピタリストら8人のスペシャルゲストが12月11日の成果発表会「LEAP DAY」に駆け付けました。世の中に新しい価値を生み出し続ける8人の講演を全文書き起こしで順次紹介します。第1回は世界で最もアクティブなシード投資ファンド、500 Startups Japanの澤山陽平さんです。

(次回は12月16日公開予定)



世界中でイノベーションを見つける


澤山陽平さん

 僕たち500 Startupsは世界で最もアクティブなベンチャーキャピタルです。僕たちが世界中でスタートアップを育てる中で、どんなことを見てきたのか。今年の夏は神戸市で実はプレアクセラレーターというベンチャー企業20社を育て上げるカリキュラムをしました。その中で何が見えてきたのか。神戸市でやったことは他の地域にも展開できると僕たちは思っていますので、そういったことをどうやってきたいのか、そして最後に一番大事なこと、エコシステムをどうやって作っていくのかについて話していきたいと思います。

 僕のことはざっくりと。もともとエンジニアです。今も実はハッカソンに出たりして、たぶんハッカソンで賞を取れるベンチャーキャピタリストは僕だけじゃないかなと思っています。もともとエンジニアだったんですけど、新卒で外資系投資銀行に入って何千億の買収とか、あとベンチャーをひたすら支援していました。

 さっそくちょっと500 Startupsについて。すでに名前くらいは知っている人はいると思います。さっき言ったように世界で最もアクティブなベンチャーキャピタルです。何がアクティブなのか?

 設立したのは2010年です。6年の間に世界で1700社以上に投資しました。年間数百社の投資です。この数は最もアクティブです。

 もう一つ。世界中の国、あらゆる国で投資をしています。60カ国を超えました。アフリカはまだだけど、まだまだこれも増やしている最中です。なんでこれができているのかと言うと、僕たち500 Startupsには150人くらいの人がいて、全部、人種はバラバラ。言語もバラバラ。バックグラウンドもバラバラ。多種多様な人たち。そして各地の現地のエコシステムにしっかりと食い込んでいる。そういった人たちが世界中でイノベーションを見つけて育て上げるということをしている。

ユニコーン企業も


 今まで3社ほどユニコーンを作ってきました。ユニコーンというのはこの後も説明しますけど、時価総額が1000億円を超えるような非常に大きくうまくいったベンチャーですね。すでに日本ではTwilio(ツイリオ)が一番有名だと思います。電話をインターネットウェブサービスから簡単に使えるサービスで、つい最近上場もしました。

 500 Startupsが世界中に投資をする中で、今いろんな国でその国に向けたファンドを作っています。僕はその中の500 Startups Japanを去年立ち上げて30億円くらいの資金を運用しています。簡単に言うといろんなベンチャー、創業直後のプロトタイプができたかなくらいのタイミングの会社に1000万円、2000万円投資して、彼らがもっともっと大きくなっていくこと、もしくは世界に羽ばたいていくことを支援する。そういう仕事をしています。

 実際僕たちが何をしているかというと、1700社以上いるので、3000人くらいの起業家のネットワークがあったり、世界中につながっている。そういったネットワークにつなぐお手伝い。それからシリコンバレーから僕たちは来ていて、あらゆるベンチャーを見てきていますので、培ったノウハウ、どうやって育っていくのか。どうやってサービスを培っていくのかというノウハウを日本に届けること。

 もう一つ大事なのはグローバルビジョナリー。日本の相対的地位は低下している。日本語の壁が大きいので、日本で何が起きているのか分からない。日本でこんなにおもしろいことが起きている。そういったことを世界に届けることが僕たちのミッションです。起業家の出会いを作ったり、起業家の学びの場を作ったりそういったことをしています。今回のプレゼンの10分使って、神戸で私たちが何をしてきたのか話したいと思います。


神戸プレアクセラレーターとは?


 アジアではじめてのプレアクセラレーターというのをやりました。実際、今年の8月1日から9月の半ばまで6週間、ベンチャーを20社育てた。すごくおもしろかったのが、神戸市と一緒にやったのですが、神戸市がオープン。なぜか? 彼らとしてはベンチャーを育てたい。神戸にそんなにたくさんはベンチャーはいない。日本中、世界中からいったん神戸に集まってそこから世界には羽ばたけばいい。そういうことを考えたからなんですね。通常、地域のプログラムは地域のしばりがあったりするが、神戸市の場合は何もない。世界中から参加する。200社くらい応募があったが、3分の1は海外。実際採択された中にも3社くらい海外の企業もいましたし、神戸市のベンチャーはゼロだったんですね。こういうオープンさは今後も非常に大事なことになっていくと思います。

 その中で選ばれた会社というのが、実際何をやったのか? 6週間の間、実は6週間みっちりやったわけじゃない。最初の2週間鍛え上げるレクチャーをして、神戸市のスペースを使って動いてもらう。でもその後2週間、スプリットウイークと言って、業務に戻ってもらった。その最初の2週間でいろんな課題、宿題、もうちょっと営業をした方がいい、マーケティングをした方がいいといったことをいろいろと伝えた後、2週間業務を試してもらう。その後戻ってきて2週間、最後の2週間で鍛え上げて、投資家の前でプレゼンして次のステップに進んでもらう。そういったことをしたプログラムです。

 実際にどんなことをやったのか、プログラムの内容について簡単に説明したいと思います。1つはレクチャーです。今回のプログラムで起業家からも評価を受けているのは、トップのメンターが神戸市に集まったこと。合計20人を超えます。最初は10人くらいのはずだったのに、だんだん増えていって。実際どんなことをしたかというとセッションです。専門の領域ですね。それこそ、ベンチャーキャピタルってどんな仕組みかは起業家にとって学ぶべき大事なことです。ベンチャーキャピタルと起業家はつきあっていかないといけない。お互いのことをよく知らないと。マーケティングの話、グローサック、UI、UXのデザイン。そんなセッションを専門家たちにしてもらいました。


元起業家が支援


 もう一つおもしろかったのが、20社参加したんですけど、10社ずつ1人の元起業家の担任の先生みたいな人がつきました。先生が2、3日おきにミーティングして、どんなことに今時間を使っているのか、どこに今悩んでいるのか。そういったことをきっちり聞き出して、常に「それは違う、それはやらない方がいい」という優先順位を彼らに示していく、そういったことをやりました。

 それからメンタリングですね。メンタリングってすごくぼやっとした言葉ですね。誰でもメンタリングできるしメンターになれる。ただ大事なのは本当にその領域に特化した人から具体的にアドバイスをもらえることだと思っています。なので、セッションした専門家がそその具体的な領域について、セッション終わった後じっくりと時間取ってくれて、それこそ、マーケティングの専門家は一緒になって広告を打つ。これをやりながら学ぶ。また別の専門家はサービスの価格付け。ミーティングで話しながらサービスの価格を決めていく。もしくはやってみて、その結果をもとに変えていく。

 おもしろかったのが、終わった後にいろんな人にきいてすごいねと言われたのが、各種専門家がここにずっといるんですね。一日中、その場所にいて、常に質問を受け付ける。これだけのメンターのコミットを引き出すのはすごく大事なことだったと思います。




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