ユーザー投稿型サイトの危険性 モバプリの知っ得![2]


ユーザー投稿型サイトの危険性 モバプリの知っ得![2]
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ハチミツで赤ちゃんが亡くなった悲しい事件

 2017年4月7日、東京都は生後6カ月の男児が「乳児ボツリヌス症」で亡くなったことを発表しました。

 亡くなった、原因はハチミツ。

 乳児がハチミツを摂取すると体内にボツリヌス菌が繁殖し、その際に産生する毒素により、発症します。重症の場合は死に至るとのことです。この注意は、ハチミツのパッケージや母子手帳などにも記載されています。

 今回、乳児の家族はハチミツを乳児に与えてはいけないと知らなかったとのことです。

 非常に悲しいできごとです。

 この件で私たちが何か学ぶことができるとしたら、何を学ぶべきでしょうか。少し考えてみましょう。

ユーザー投稿型サイトのリスク

 今回のできごとは、発症の約1カ月前から離乳食として、市販のジュースにはちみつを混ぜたものを飲んでいたことが原因だと報じられています。 

 しかし、ネットで「ハチミツ 離乳食」と検索すると、ユーザー投稿型のレシピサイト、「クックパッド」などのレシピが多くヒットしました。

 命を落とす危険性のあるレシピが堂々と掲載されていることに関して、クックパッド側も注意喚起をしています。

クックパッド ― はちみつの摂取が原因と推定される“乳児ボツリヌス症”につきまして
https://cookpad.com/helps/group/203

 クックパッドのように、ユーザーの投稿がそのままコンテンツとなるサービスをUGC(User Generated Contents)と呼びます。

 Wikipedia、NAVERまとめ、Yahoo!知恵袋、などのサイトもUGCに分類されます。

 UGCではユーザーが投稿することで、サイト内にコンテンツが増えていきます。

 ユーザーが自由に投稿できることから、スピーディーに多くの情報が追加されていきますが、一方で、ユーザーは必ずしも専門的な知識を持った人ではありません。

 素人が書いた情報もほぼノーチェックで掲載されることも少なくないため、実際に「ハチミツ 離乳食」のような警戒するべき情報も多く見られるわけです。

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

 前回、真偽を警戒し、複数の情報源に当たることが、誤った情報・デマを見分けるポイントだと紹介しましたが、それが時には命を守ることにもつながります。

ネットで広がるデマ情報 方程式と3つの対策 モバプリの知っ得![1]

 ユーザー投稿型サイトは「ノーチェックでユーザーが投稿できる」という仕組み上、どうしても不確かな情報が出やすくなります。みなさんがユーザー投稿型のサイトを見る時には、書かれていることを話し半分で受け止めるくらいの警戒心で臨んだ方がいいかもしれません。

興味がないジャンルも検索を

 前段をざっくりまとめると「ネット上で知り得た情報はうのみにする前に、注意しましょう」ということです。

 今回亡くなられた乳児の家族は、ハチミツの危険性を知らなかったとのことでした。

 つまりネット上の誤った情報に気をつけても、ボツリヌス菌のことを知らなければ乳児にハチミツを与える可能性は十分にあります(ハチミツの健康効果が高いだけになおさらです。)

 判断するための基礎情報となる教養がないと、デマやとんでもない情報に引っかかりやすくなります。これは健康情報に限らずのことです。このような事故を未然に防ぐためには、ネット上の誤った情報に気をつけつつ、正しい情報を広く取り込むことです。

 ネット検索は「プル型」。自分の興味関心のある分野の情報を取りがちなものです。検索のみに頼ると、情報が偏ることもあります。

 幅広く情報を取り込むために、あえて興味がないジャンルをネットで調べたり、反対のワードも検索したりすることもオススメします。そして、本を読むなどいろいろなメディアから、バランスを取った情報を意識的に得ましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」4月23日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/