復讐心で裸の写真をばらまく「リベンジポルノ」その気はなくても加害者・被害者に!? モバプリの知っ得![16]


復讐心で裸の写真をばらまく「リベンジポルノ」その気はなくても加害者・被害者に!? モバプリの知っ得![16]
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

進化するカメラ付き携帯電話

 2000年ごろから登場したカメラ付き携帯電話は、間も無く18年の歴史を迎えようとしています。

 写真の画質はもとより、連写速度、保存枚数など大幅に進化しています。さらにネットワーク環境の発展により、高画質な写真を高速でインターネットにアップロードすることができるようになりました。

 この間、画素数はおよそ100倍、本体に保存できる枚数はおよそ20万倍に進化しています。

 

各年代のスマートフォンの比較
 

J-SH04

発売年…2000年
画素数…約11万画素
本体容量…200KB

 

W61S

発売年…2008年
画素数…約511万画素
本体容量…約750MB

iPhone 7

発売年…2016年
画素数…約1200万画素
本体容量最大256GB

 私たちが今、当たり前のように持っているスマートフォンのカメラは、ニュース番組を作れるほど高機能で、手軽に情報を発信することができます。

撮られた写真が凶器になる

 しかし、その手軽さゆえにトラブルも多発しています。

 その代表例が「リベンジポルノ」です。

「リベンジポルノ」とは、元恋人の裸の写真や動画をインターネットに投稿したり、「ばらまくぞ」と脅す行為から名付けられました。

 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

 別れる際に相手を恨み、裸の写真を投稿することで仕返し(リベンジ)を行うものです。

 ただし復讐心がなくとも、相手の同意無しに裸の写真を投稿する行為もリベンジポルノに含まれます。

 2014年11月にはリベンジポルノ対策法(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律)が成立し、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるようになりました。

  しかし、法律ができたからといってすぐに、リベンジポルノがなくなるわけではありません。

 リベンジポルノの仕組み、実態やリスクを考え、次の被害者・加害者にならないように注意しなければなりません。

加害者は「元恋人」だけでない

 リベンジポルノの警察への相談件数は2015年・2016年ともに1000件を超えています。

 性犯罪は、被害にあっても届け出をしない「泣き寝入り」も多いため、相談件数1000件の後ろでさらに多くの方が苦しんでいることが想像できます。

 警察庁が公表したデータによると、加害者の63.4%が交際相手(元交際相手を含む)とトップですが、「インターネット上のみの関係の友人・知人」が11.4%で2位、続いて「友人・知人」が9.9%と続きます。

(警察白書 平成28年版より)

参照:警察白書(平成28年版)

 このデータを見て、直接の友人・知人以上に、「ネット上でのみ」付き合いのある知人・友人の方がリベンジポルノのトラブルに発展することが多いことに少し驚きました。

 SNSで簡単に繋がれる上に、「ネットだけでのお付き合い」という適度な距離感から気軽に裸の画像を送っているのかもしれません。

 リベンジポルノの加害者は「元恋人」のイメージがどうしても強くなりますが、元恋人以外が35%にものぼるため、さまざまなケースを想定しなければいけないといえるでしょう。

 また、リベンジポルノと聞いた時、みなさんは被害者の性別についてどんなイメージを持ちますか? 「女性の裸が流出=かわいそう」と連想してしまいがちではないでしょうか。

記事:リベンジポルノ千件超 9割女性、若年層に被害

 実際に女性が多いのですが、被害者の10%は男性となっています。比率こそ少ないのですが、被害に遭うのは女性だけではないのです。しかし、男性が同じ目にあっても「復讐される方が悪い」「自業自得」など、リベンジポルノと認識されにくいこともある例があります。加害女性の復讐理由に「この男性は不倫をしていました」など一定の落ち度がある場合、正義感をもったネットユーザーが過剰に拡散するので場合です。

記事:「ソーシャルジャスティスウォリアー」って何!?私刑を行うネットユーザーへの警鐘

 どんな理由があっても、報復のために「裸の写真を流出させる」などの行為はあってはならないことです。そして、このような情報をネットで見かけた場合は取り扱いに注意した方がいいでしょう。

リベンジポルノを防ぐためネットの仕組みを覚えておく

 私たちが被害者にならないためにはどうするべきでしょうか。

シンプルな答えを出すと「裸の写真を撮らさない、送らない」です。

 しかしながら、本当にそれができているなら、こんなにも被害は起こっていないはずです。相手が欲求してくるとはっきりと断りにくいという人もいるのでしょう。「リベンジポルノ」を理由に断ると「そんなことすると思ってるの?」と恨まれんじゃないかと恐れる人もいるかもしれません。

 そんな時は、リベンジポルノ以外の画像やデータの流出の事件を例に出すのが有効的です。みなさんも「LINE乗っ取り」「Facebookの乗っ取り」の被害に遭ったことはないでしょうか?

記事:無くならない「snsの乗っ取り」その原因と対策方法 モバプリの知っ得![11]

 画像の流出は本人の意思がなくてもあり得ることです。これまでも、アカウントのハッキング・乗っ取り、PCのウィルスなどさまざまな原因で、多くの裸の写真がインターネットに流出しました。

 デジタルデータはコピー・複製が容易なため、インターネットに流出すると一瞬で多くの人に保存され、完全に消し去ることは事実上不可能です。

記事:「簡単に消せる、簡単に保存される」 ネットの書き込みとその影響力  モバプリの知っ得![5]

 安易な気持ちで撮影した裸の写真が流出したことで、大事な恋人の人生を一変させた例は過去に多くあります。

「裸の写真、撮らせてあげたくても、ネットに流出したら私とあなたのこれからの人生が大きく変わるよ。」
と正直に伝えてみてください。

 リベンジポルノの被害が減るように。また拡散が減るように。今一度、意識してみましょう。

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」7月30日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

http://smartphoneokoku.net/