「ネタ」が「デマ」に!? ツイート前に意識したい情報の正確性 モバプリの知っ得![20]


「ネタ」が「デマ」に!? ツイート前に意識したい情報の正確性 モバプリの知っ得![20]
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

先週の8月19日、東京地方を大雨・雷が襲い、花火大会が中止になるなど大きな混乱が起こりました。SNSでは、大雨のすごさを表す写真や動画が多く投稿されました。

同じタイミングで、Twitterにて「浜松市内に落ちた雷の撮影に成功しました」というコメント共に、大量の雷が落ちている画像が投稿されました。

インパクトのある写真だったため、瞬く間にTwitter上で拡散され、最終的には3万回以上RT(リツイート=転送)されました。
 

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

さらにこの画像を保存し、同じように投稿する「パクリツイート」をする人まで登場。パクリの方は5万8千件RTされ、さらに多くの人が投稿を見たと思われます。

インパクトのある写真だったため、かなりのスピードで広がった「浜松大量落雷ツイート」でしたが、実際はアメリカ人の写真家がインドで撮影した写真でした。

BuzzFeed Japanが検証し、「デマ」とタイトルに入れて注意をうながす記事を掲載しています。

BuzzFeed Japan-「浜松市内に落ちた雷」の写真はデマ SNSで拡散

今回は、結果的にデマがものすごいスピードで広がったことになります。

ネタとデマの境界線

多くの人によって拡散された「浜松大量落雷ツイート」ですが、投稿者は「どっからどう見ても浜松ではない」「これくらい見抜けないと」とのコメントも残しています。

つまり本気でこの画像が浜松だと信じていたわけでもなく、人をだまそうとしたわけでもなく、ふざけて投稿したのだと思われます。

イケメン俳優の写真を「どうも僕です」と投稿し、「お前そんなにカッコよくないだろ!(笑)」と人からツッコんでもらうのを待つように、今回も「浜松こんなに高層ビルないし(笑)」「こんなに雷落ちていねーよ!」と近い友達からの反応を待っていたのかもしれません。

Twitterにおいて、冗談や創作した話を投稿することを「ネタツイート」と呼びます。

今回も投稿者はネタツイートのつもりだったと思いますが、首都圏で雷雨が猛威を振るっていたこと、想像以上に広がったことなどもあり、「ネタ」ではなく真面目に信じる人が出てきて「デマ」に変わっていきました。

ネタとデマの境界線は非常に曖昧です。
近い人なら冗談を冗談としてわかるものの、関係が少し離れると事実として受け止められてしまいます。

2016年4月の熊本地震の際には、「動物園からライオンが逃げた」と、街中を歩くライオンの写真を投稿した人がいました。
本人は「ネタ」のつもりだったかもしれませんが、信じた人が動物園へ問い合わせの電話を行い、その数は100件を超えたとのことです。
大量の電話が動物園の業務に支障をきたしたということで、偽計業務妨害容疑で投稿者の男性は逮捕されました(のちに不起訴判決)。

インターネットでの拡散は、投稿者が適切にコントロールすることが難しく、予想外に広がる可能性があります。
ネタとして笑いを誘うつもりの投稿が、予想外に広がりすぎて、逮捕される。
インターネットで情報を発信する場合は、その影響力などを強く意識しないと「デマ屋」になるので注意が必要です。

デマは人の命を奪う

ネタとデマについて話をすると「面白くて迷惑がかからなければいいじゃん」という意見も出てきます。

もちろん面白く、楽しいことはいいことなのですが、デマはトラブルのきっかけにもなります。

前述した熊本地震の「ライオン脱走デマ」では、動物園に問い合わせの電話が大量にかかり、業務に支障がでました。

また、街中をライオンが歩いていると信じて家から出ないことで、被災の被害が広がった方もいるかもしれせん。

今回の「浜松大量落雷ツイート」を信じ、浜松へ行く予定を変更した方もいるかもしませんし、今後本当に雷による災害が発生した時に、信じない人が出るかもしれません。

今から約100年前、1923年の関東大震災の時には、「朝鮮人が井戸に毒を入れている」などのデマ・流言が広がったことで、暴動が発生。朝鮮人や朝鮮人に間違われた日本人など、多くの人が殺害されるいたましい事件が起きています。

こうした過去の悲しい事件から、私たちは「デマは人の命を奪う」ということを強く意識し、インターネット上の無数の情報を精査する必要があります。

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 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」8月27日付けでも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

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 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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