首都ワシントンでもLGBTQプライドでパレードだ!
みなさんお元気ですか?またしても1カ月振りの更新になってしまいました(汗)。
前回、米国では6月にLGBTQ(同性愛者のレズビアンやゲイ、両性愛者のバイセクシュアル、トランスジェンダーなどのセクシュアル・マイノリティの総称)のPride月間として、さまざまなイベントが行われた、とお伝えしました。
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◇アメリカから見た! 沖縄ZAHAHAレポート(2)
アメリカの首都ワシントンD.C.にもたくさんのLGBT関連のNGOがあり、ホームページで年間を通した活動や6月のイベント情報を幅広く発信しています。それを参考にちょこちょこと出掛けた6月のPride月間イベントの様子をご紹介します。
ざっと見ただけでも、D.C.でLGBTサポートの活動をしている大きな団体は3つあります。
★The Human Rights Campaign (ヒューマン・ライツ・キャンペーン 全米最大のLGBTQ人権団体のDC支部)
★Capital Pride Alliance(キャピタル・プライド・アライアンス 首都(Capital)ワシントンD.C.で年間を通じてさまざまな活動を続け、毎年6月のPride月間で年次イベントを開催)
★The DC Center for the LGBT Community (DCセンター 同じくD.C.を拠点にした団体で、LGBTの健康福祉や文化、ピアサポート、コミュニティー構築の分野で活動。10代など学生・若者のサポート活動をよく見ます)
さて、その中でも6月10日に開催されたCapital Pride Parade(キャピタル・プライド・パレード)は大規模なイベント。
Capital Pride Paradeのホームページはこちら。
D.C.のゲイタウン、デュポンサークルからローガンサークルまでの約1.5マイルをフロート(飾り付けされた乗り物)や人々がパレードします。Pride月間の中でも歴史あるイベントで、人々は、Pride月間をお祝いしながら、LGBTの権利や社会への理解を広げるために街を練り歩きます。
自宅からメトロ(地下鉄)に乗ってデュポンに向かったのですが、既に車内は、パレードに向かうであろう乗客がたくさん。
レインボーカラーのネックレスやリストバンドをつけた老若レズビアンカップルや、りゅうちぇるみたいな若者、髭もじゃゲイカップルなど、人種も年代もファッションいろいろ。いつもは仕事に向かう人や観光客しか見掛けない地下鉄車内が既に色とりどり。みんな楽しそう!
実はDCのメトロも、Pride月間の特にパレードなどが行われる週末に合わせてこんな洒落た表示がありました。街全体がお祝いしている雰囲気です。
パレードに向かうであろう人々がどんどん乗り込んで車内は満員! デュポンサークルの駅に着くとプラットフォームもレインボーな人人人で足の踏み場もない!
エスカレーターもすごい人混みです。
やっと地上に上がると、これまたデュポンサークルの広場は、既にすごいにぎわいでした。レインボーのフラッグがはためき、バッジやTシャツを売る出店、音楽、老若男女でごった返しています。
どうにか写真が撮れそうな場所をキープし、夕方5時前ごろにようやくパレード始まりました。あとはお祭り騒ぎ! 私も沿道を歩きながら、写真を撮りながら、声を挙げ、拍手しながら、夢中で移動しました。
パレードには、パトカーや消防車もレインボーで祝い、ゲイやレズビアンのマーチング隊がかっこいい演奏で会場を盛り上げていました。
ドラッグクイーンも、ベビーカーの赤ちゃんも、同じ場所でパレードする姿にすごく「多様性」と「自由」を感じました。
パレードの人からいろんな「もの」を沿道の観客に投げてくれる中、何気に手を伸ばすと、なんとTシャツをゲット。周りの方に「いいな~」と羨望のまなざしを受けました(笑)。
ネックレスやレイなどもたくさん投げていたのですが、そばにいた黒人のおばちゃまはコンドームをゲット! 「いる?」と聞かれ、「いらない」と笑って答えたら、「私もいらないのよ」と笑うおばちゃま。近くの若者グループに「Safe Sex!」とコンドームを渡した後、パートナーのおばちゃまと仲良く手をつないで歩いて行きました。
今回のパレードでも、やはり目立ったのはトランプ大統領やその政策を批判するプラカードでした。
移民の国アメリカには、さまざまな国の出身者、文化にルーツを持つ人々が暮らしています。そして人種や出身国においても、LGBTQなどセクシャリティにおいても、マイノリティーに対しての政策が疑問視されるトランプ大統領へ「おかしい!」と声を挙げる人々の姿が印象的でした。
翌11日は、U.S. Capitol(国会議事堂)へと続くペンシルベニアアベニューを歩行者天国に、食やコンサート、企業や団体のブースの出展するフェスティバルが開催されました。夕方には、人気歌手マイリー・サイラスのライブもあり、これまたすごいにぎわいです。
食関係を除いた出展者はざっと数えただけでも約260。公式ガイドブックを開くと、ヒルトンやマリオット、ハイネケン、マクドナルド、IKEA、GAP、マイクロソフト、アメリカン航空など、名だたる企業や銀行が名を連ねていました。
ブースでは、さまざまな体験コーナーを含めた企業や団体の広報、政府関係機関の仕事紹介などが行われ、サンプルやノベルティーグッズの配布、NGOへの寄付依頼などがありました。
日本では、LGBTへの社会の理解が少しずつ広がり、賛同する企業も徐々に増えてきている中、アメリカの企業はやっぱり進んでいると関心する一方、ワシントンポストのこんな記事を通して、商業主義との関係に考えさせられました。
ワシントンポストの記事はこちらから。
Activists say Capital Pride overtaken by corporations and rich gay men
記事は、「2000人が参加した1975年6月のCapital Pride Festivalには、ビールやジュースを提供するトラックは1台しかなかったが、行進する全てのゲイやレズビアンの参加者はみな満足した表情だった」という書き出し。
さまざまな人々の努力や活動によって、LGBTへの社会の理解や権利擁護の動きが広まったが、Capital Pride Festivalの以前からの参加者や一部の活動家からは「本来のパレードの目的やLGBTコミュニティーの団結の意識が薄まっている」「あまりにも企業や警察と近くなり過ぎている」「スポンサー企業にはトランプ大統領と近い企業が含まれている」ことを批判し、ボイコットしたという内容です。
楽しいイベントを通して社会の理解が広がるのは喜ばしいこと。でも、活動の本来の目的や権利を勝ち取るまでの人々の闘いの歴史、そしてこれからも「おかしい」ことに声を挙げ続けることの大事さを忘れてはいけないと感じる2日間でした。
そして、何より、世代や人種、性別などを超え、多様に、カラフルに!いきたいものですね。
最後に、おまけで。
Festival会場までの道中、すてきなご夫婦とおしゃべりしました。レインボーカラーの手作りTシャツ。「写真を撮らせてもらえますか?」と尋ねると快諾してくれ、トランプホテルの前でかっこよくこのポーズ。サイコーでした!
座波幸代(ざは・ゆきよ) 政経部経済担当、社会部、教育に新聞を活用するNIE推進室、琉球新報Style編集部をへて、2017年4月からワシントン特派員。女性の視点から見る社会やダイバーシティーに興味があります。